第26回(2006.11.24)
費用便益分析
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 
 

前回は、品質計画のツールと技法であるベンチマークを取り上げました。


今回も、続けて、品質計画のツールと技法である費用便益分析を取り上げます。

◆費用便益分析
費用便益分析とは、かけた費用に対してどれだけの便益があったかを金額に換算して分析する手法です。

品質計画では、便益は手直しが少なくなり、高い生産性と安いコストをもたらし、ステークホルダーの満足度が増加することであり、費用は、品質に対する要求事項を満たすためにかかったプロジェクト品質マネジメントのコストすべてです。

簡単に言えば、何か処理を行うことでかかる費用以上の便益があれば、その処理を行うメリットがある、という分析です。

例えば、テストを二重化することで、次工程での手直し、手戻りが少なくなり、それぞれのコストを金額換算して比較した結果、テストの二重化のほうが安ければ、するメリットがあるということです。

ここで、重要なことは、費用というのは、かかったコストを考えれば良いので簡単ですが、便益とは何か、です。先ほどの例のテストを二重化しない場合、次工程での手直し、手戻りが多くなりそのコストを便益と考えるか、その他も考えるかということです。

その他というのは、手直し、手戻りが少なくなり、納期に遅れないということや、最終テストの工数が減るということや、製品として出荷した場合の顧客の評価などで、どこまでを便益と考えるかです。

通常、費用としては、ツールの購入、研修費用、テスト要員追加、マニュアル作成、高性能PCの購入などがあり、便益としては、テスト工程の削減、不適合率の減少、作業時間の減少、要員の減員、作業効率の増加、顧客満足度向上による売上増加、作業環境向上による人件費削減などがあります。

また、費用便益分析は、コストベネフィット分析、ベネフィットコスト分析とも呼ばれています。

そして、費用便益分析は、品質計画のツールと技法としてPMBOKで取り上げられていますが、プロジェクトの立上げ段階で、プロジェクトの分析・評価としても使われる重要なツールです。

詳しくは、こちら。
プロジェクトの分析・評価(1)
プロジェクトの分析・評価(2)

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PMBOKは、米国PMIの商標(R)です。

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