第25回(2006.11.17)
ベンチマーク
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 
 
前回は、品質管理のツールと技法であるQC七つ道具を取り上げました。

今回は、品質計画のツールと技法を取り上げます。

品質計画は、プロジェクトに関連する品質規格を特定し、その品質規格を満足する方法を決定するプロセスです。

そのツールと技法として、費用便益分析、ベンチマーク、実験計画法、品質コスト(COQ)がありますが、今回は、ベンチマークを取り上げます。

◆ベンチマーク
ベンチマークとは、実際のまたは計画中のプロジェクトについて、他のプロジェクトと比較し、改善策を考えたり、パフォーマンスの測定基準を設けることです。

もともと、ベンチマークとは、
1.経営改善の手法
2.土地測量の基準点(建設業界)
3.異なるハードウェアやソフトウェアを使って同じプログラムを実行し、性能比較
を行うテストの意味 (コンピュータ業界)
のことで、IT業界が長い方は、3.に親しみを感じる方が多いのではないでしょうか。

日本経営品質賞アセスメント基準書では、ベンチマーキングのことを次のように定めています。

組織が改善活動を行うときに、業界を超えて世界で最も優れた方法あるいはプロセスを実行している組織から、その実践方法を学び、自社に適した形で導入して大きな改善に結びつけるための一連の活動

最も優れた方法あるいはプロセスのことをベストプラクティスと呼び、ベンチマーキングは、対象業務のベストプラクティスを探し、自社と比較分析し、その差異を埋めてプロセス改善を行う手法であり、1980年代後半のゼロックス社の成功で広く知られるようになりました。

ゼロックス社では、1970年代後半から1980年代に複写機のシェアが80%から10%に下落し、ライバルの日本企業を分析すると在庫量と低い生産性に問題があることがわかりました。

そこで、異業種であるLLビーン社(アウトドア用品の通信販売業者)の倉庫内業務のベンチマーキングを行うことで、大幅なコストダウンに成功し、1989年にシェアが50%に回復したそうです。そして、1989年マルコム・ボルドリッジ全米品質賞を受賞しました。

このゼロックス社の行ったベンチマーキングは競合ベンチマーキングと呼ばれ、競合他社のプロセスの分析を行う手法であり、異業種他社のベストプラクティスを学ぶことが多く、それは、異業種のため広範囲で深い情報収集が可能と言われています。

ベンチマーキングの効果として、
収益性と品質の向上
より高い目標の設計ができる
意識改革が進むこと

があり、品質計画において、ベストプラクティスに学ぶことを取り入れることで、より高い品質を計画することができます。

また、その際に、
1.全社横断的に考える必要がある
2.継続的に改善を行う
3.ベンチマーキングの成功には経営層や部門長の理解と強いリーダーシップが必要
と留意点がありますので、ベンチマーキングについては、全社的に考えていく品質計画とも言うことができます。

次回は、「スコープ定義」のツールと手法であるプロダクト分析の他の技法です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
PMBOKは、米国PMIの商標(R)です。

前の記事 |次の記事 | 記事一覧
スポンサードリンク
読者からのコメント

■本稿に対するご意見,ご感想をお聞かせください.■

は必須入力です
コメント
自由にご記入ください

■氏名またはハンドル名
■会社名または職業
■年齢

  
このコンテンツは「プロジェクトマネージャー養成マガジン」としてメルマガで配信されています.メルマガの登録はこちらからできます.