第22回(2006.10.09)
システム工学(2)
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 
 
前回は、スコープ知識エリアの「スコープ定義」のツールと技法であるプロダクト分析の中のシステム工学を取り上げました。

システム工学

今回も、続けてシステム工学を取り上げます。

◆システム工学
システム工学は一言で言えば、問題を解決するという目的のために最適なシステムを構築するプロセスであり、何のためにシステムを組むのかという目的があり、その目的を解決するための方法、演繹的論理の考え方です。

そのための具体的な手順ですが、思考過程は次の通りです。

1.目的は何か
2.評価尺度は何か(目的を達成できたことを確認する尺度)
3.問題は何か(解決すべきものは何か)
4.データの分析
5.解決案の作成
6.評価

3.から6.を繰り返し、最適解を得る

ここで重要な点は、評価尺度を先に決めておくということです。

解決案を作成しても、評価をする際の基準が決められていないと、何を解決するのかという目的がぶれてきてしまいます。ただし、評価尺度が間違っていると判断した場合はこの時点で、評価尺度を変更することに問題はありません。最初に評価尺度を決め、合意を得ていくということが重要です。

また、この流れの中で、基礎的な知識として必要なものに、オペレーションズリサーチ(OR)があります。

ORは構成する要素の関連を数式化し、その最適化を図る方法です。要素で構成されたものをシステムと考えるとその最適化(データを分析し、解決案を作成する)という重要な部分をORが担ってくれるわけです。

つまり、ORは問題を科学的方法を用いて解決する「問題解決学」です。
具体的なOR手法としては、

・線形計画法:制約条件の中で最適化を求める
・ゲームの理論:ゲームにおいて、どんな手段を使うと競争相手に勝てるのか
・決定理論:投資をして、最も少ない損害するためや最も利益を大きくするための手段を決める
・デシジョンツリー:多段階の意思決定に期待値を使う
・在庫管理:在庫に関する費用を最小にするには発注量をどの程度にするのか
・待ち行列:窓口に並ぶ行列をなくすためには、窓口がいくつ必要か
・グラフ理論:多数の要素間の結合関係をグラフでモデル化し最適化する
・多変量解析:アンケート調査のように,多くの項目に回答のあるデータを解析する
・時系列解析:時刻と共に変化するデータを解析する

などがあります。

ORは、情報科学の理論ですが、システム工学は他の統計学や通信理論などを駆使して、具体的な問題を解くためのテクノロジーと言われています。

次回も続けて、システム工学です。

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