第14回(2006.08.18)
KJ法
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 
 
前回は、リスク知識エリアの「リスク識別」プロセスのツールと技法であるブレーンストーミングを取り上げました。

今回は、ブレーンストーミングなどの発散思考で洗い出されたアイデアを収束思考でまとめていくための技法として、KJ法を取り上げます。

◆KJ法
「リスク識別」プロセスは、どのリスクがプロジェクトに影響するか見定めて、その特性を文書化するプロセスです。リスク知識エリアでは、このあと、リスク識別でアウトプットされたリスク登録簿に対して、リスクの分析、リスクの対応計画策定を行い、順次、更新していきます。

その際には、リスク分析におけるリスク区分の傾向(どの区分のリスクが本プロジェクトでは影響度が高いか、どの区分のリスクが多発しそうかなど)やリスク対応計画策定におけるリスクの明確化のためのリスク区分による分類、リスク対応計画策定における根本原因の分析のためにリスク区分が使われ、リスク識別では、リスク・ブレークダウン・ストラクチャーを作成します。

そして、ブレーンストーミングで出てきたリスク事象をKJ法でまとめていくことでリスク・ブレークダウン・ストラクチャーを作成していきます。

そもそも、KJ法は文化人類学者の川喜田二郎氏が現地調査の研究結果をまとめるために考案した技法で、さまざまなデータやいろいろな人の意見をカードに記入し、内容が類似しているものを集約し、新たな仮説を発見していく方法です。
そして、現在では、日本における代表的な問題解決技法になっています。

KJ法は次のステップにしたがって進めていきます。

・テーマを決める
・アイデアを出し、カード1枚に1つのアイデアを記入する
  〜〜 ここまではブレーンストーミングが適しています 〜〜

・カードをまとめていく
 内容が本質的に似ているものを集める
 まとめることができないカードは単独に別の場所におく
 5、6個程度でまとめていく
 新たに出てきたアイデアもカードに記入する
  〜〜 できたら、リスク事象は付箋に記入し、
   模造紙に内容が似ているものに分けて貼り付けていきます 〜〜

・集めたカード群に内容の要点を抑えたタイトルをつける
 他カード群と重複がないようにする
 タイトルはカードに別の色のペンで記入する
 〜〜 タイトルは別の色の付箋にします 〜〜

・上位グループにまとめる
 カード群や単独カードをまとめてタイトルをつける
 タイトルはカードに別の色のペンで記入する

・上位グループの集約を繰り返し、10グループ程度にまとめる

・作図してまとめる
 出来上がったグループを内容の関連性を考慮して、配置換えする
 グループごとに囲み、グループ間に関係があれば、矢印で結ぶ
  〜〜 グループごと付箋を移動し、関係のあるグループを近くに置き
   関連性を考えていきます 〜〜

・最後に文章化する
 作図を元に内容を文章化する

リスク識別では、ブレーンストーミングで出てきたリスク事象について、KJ法でまとめることによって、重複しているリスク事象を整理し、グループ化している際に新たなリスクが出てくることで、あらゆるリスクの洗い出しとその分類、リスクの根本原因を分析するためのリスクの明確化ができてきます。

次回は、リスクの原因の識別や因果関係のメカニズムを解明するための図解の技法(特性要因図、フローチャート、インフルエンス・ダイアグラム)を取り上げます。

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