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第15回(2006.08.25)
インフルエンス・ダイアグラム
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 |
前回は、発散思考であるブレーンストーミングで洗い出されたリスクを分類してまとめていくためのツールとしてKJ法を取り上げました。
今回は、リスクの原因の識別や因果関係のメカニズムを解明するための図解の技法(特性要因図、フローチャート、インフルエンス・ダイアグラム)を取り上げます。
「リスク識別」プロセスでは、アウトプットであるリスク登録簿に識別したリスクのリスト、リスクの根本原因などを記載していきます。
このリスクを考える際に重要なことは、根本原因、リスク、リスクが発生したことによって起こるプロジェクトでの結果の構図を明らかにすることです。
根本原因というのは、文字通り、リスクを発生させる根本的状態または事象のことで、リスクを発生させる原因を突き詰めて分析した結果です。何か問題の原因を分析する場合、何故を5回繰り返していくと本当の原因がわかってくるとよく言われますが、リスクの根本原因も同様です。
リスクを発生させる根源的な原因を探っていきます。
何故かと言いますと、リスクの対策はこの根本原因に対して行わないとリスクをなくすことができないからです。
そして、リスクの根本原因を順次探っていきますと、1つの根本原因から複数のリスクが発生したり、1つのリスクは複数の根本原因から成っているというような構図が判明し、有効なリスク対策を策定することができます。
このように、リスクの因果関係を解明するための有効なツールとして、PMBOKには、特性要因図、フローチャート、インフルエンス・ダイアグラムが記載されています。
◆特性要因図
石川ダイアグラム、魚の骨ダイアグラムとも呼ばれ、リスクの原因を識別するために有効なツールです。
詳しくは、こちら。
◆フローチャート
流れ図とも呼ばれ、システムやプロセスのさまざまな構成要素間の関連や因果関係のメカニズムを示すために有効なツールです。インプット、プロセス・アクション、アウトプットを図の形式で示したものです。
◆インフルエンス・ダイアグラム
因果関係、事象の時系列、その他の変数と結果の関係等がわかるように状況を図示したもので、意思決定要素、不確定要素、評価指標を3つの記号で表現し、その関係を矢印であらわす図です。
意思決定要素:四角形の記号:意思決定者が意思を選択できる項目
不確定要素 :円形の記号 :意思決定者が意思をコントロールできない項目
評価指標 :六角形(ひし形)の記号:意思決定の判断基準
矢印は各要素間の影響を表し、影響を与えるほうから、影響を受けるほうへ矢印を記入します。
例えば、イベント会場で弁当屋さんが弁当を販売する場合を例とすると、次のようになります。
○天候 →○入場者数 → ○弁当販売量 →利益
|→ ○イベントの認知度−−−↑ ↑ ↑ ↑
|→ ○入場者の年齢−−−−−−−−−−−−| | |
|→ ○入場者の性別−−−−−−−−−−−−− | |
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□弁当作成量−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−|
このように、インフルエンス・ダイアグラムは、どんな不確定要素(リスク)と意思決定項目があり、それらにどんな関係があるのか、またその結果、評価基準にどう結びつくかを図式化していくツールであり、
リスクの根本原因 → リスク →プロジェクトの結果
というリスクの構図が見えてくるツールとして、大変有効なツールです。
次回は、「定性的リスク分析」のツールと技法であるリスクマトリクスを取り上げます。
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PMBOKは、米国PMIの商標(R)です。
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