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第76回(2005.01.26) 
PMstye流プロジェクト思考(7)〜付加価値を高める(4)

付加価値を高める(4) 〜 メンバーの生産性を上げる方法

◆生産性を上げるもっとも簡単で、難しい方法

プロジェクトの実施期間の中でメンバーの生産性を上げるというのをナンセンス、あるいは無理だと思われている方も多いと思う。もし、そのように思われている方があれば、

 どのようにして生産性を評価しているか

を考えてみて欲しい。実際に、生産性の指標を持って、計測し、かつ、やっぱり無理だったという人の言い分であれば、素直に「そうですか」と認めたいが、もし、生産性指標をいれないで、生産性を語っているのであれば早計である。

まず、生産性を上げる最初の方法は、生産性指標を導入することである。専門用語ではメトリクスと呼ぶこともある。プロジェクトマネジメントでメトリクスというとすぐに、EV(アーンドバリュー)が出てくる。これはチームとしてのメトリクスであって、個人の生産性指標には、こんな複雑な仕組みを持ってくる必要はない(もちろん、すべてのメンバーが自分の作業の生産性指標としてEVを使いこなせるようにな
れば、それに越したことはないが、、、)。

これに関しては、パフォーマンスマネジメントと呼ばれる手法が有効である。パフォーマンスマネジメントは、個人の作業の生産性に影響があると思われる指標を設定していく。


◆SMARTを目指そう

パフォーマンス指標の設定においては、「SMART」という考え方がある。

(1)Specific(具体的に)
(2)Measurable(計測できる形で)
(3)Accountable(影響力のある形で)
(4)Realistic(現実的に)
(5)Time-bound(期限を設定し)

の頭文字をとって「SMART」である。

プロジェクトマネジメントにおける本来の意味での生産性向上は個人ではなく、チームとして行われるべきものである。この点についてはまた、後のプロジェクト思考的チームで詳細に議論するが、プロジェクトチームというのは個人が単に集まるだけのワーキンググループではない。チームであるからには、個人責任と相互責任の両方が必要である。つまり、そこでは個人の成果と集合的作業の成果の両方が問われるのだ。

その意味で、SMARTを実現する生産性指標を個人だけで設定するのは難しいが、逆に上のように考えた場合、チームの生産性指標の中で、個人に落としこめるものを落とし込むという考え方で考えることができる。


◆チームと個人の生産性指標

以下にチームの生産性指標になりそうなものを列挙する。この中で、●がついているものが個人の生産性指標に落とし込めるものだと考えてよい。

【数量】
 ●問題報告書の処理日数
 ●変更依頼書の処理日数

【時間】
 ●アクティビティの実施計画数に対する実施実績
 ●計画より遅延したアクティビティ数
 ●ドキュメント1件あたりの作成時間

【品質】
 ・プロジェクト内の不良率、不良件数(成果物の不適合として顕在化しないもの)
 ・再テストの割合

【コスト】
 ・予算に対する実績
 ●プロジェクト内の間接コストの割合

【コミュニケーション】
 ●ルールへの違反率
 ・イレギュラーな会議の回数と、時間

【リスク】
 ・想定しないリスク事象の発生件数と、影響金額
 ・適用できたコンティンジェンシープランの比率

【調達】
 ・調達計画金額に対する実績
 ・調達納期

【スコープ】
 ・無駄になった成果物数
 ・スコープ変更の割合

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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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