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第71回(2004.11.29)
PMstye流プロジェクト思考(2)〜目的をマネジメントする |
◆プロジェクトにおける目的の意義
プロジェクトにとってもっとも重要であり、基礎になるものは目的である。プロジェクトにおけるすべての意思決定は目的に基づいて行われる。したがって、判断できないことがあれば目的に戻ればよいし、また、一つ一つの決定は目的に対してどのような意味を持つ判断であるか、また、どのような貢献をする判断であるかを常に考えられていなくてはならない。
◆あなたは何のために計画を作っていますか
ここでいう目的というのは、プロジェクト憲章に定めるプロジェクトの目的にとどまらない。今から1分だけ、以下の質問について考えてみてほしい。
あなたは何のために計画を作っていますか
(本当に1分考えてみましょう!)
答えは見つかった人も、見つからなかった人もいるだろう。見つからなかった人はこれからいろいろと勉強をする必要がある。見つかった人に言いたいことは、常にそれを考えていますかということだ。
コンサルティング、あるいはトレーニングの中で、見積もりの精度に関する質問を受けることがある。プロジェクトの計画の中には、いろいろな見積もりがある。作業時間、コスト、リスクなどである。当然、これらは見積もりの精度が高ければ、高いほどよい。これは間違いない。しかし、見積もりは所詮見積もりであり、100%あたるものではない。
そこで、では、どの程度、あたればよいのだろうかという質問について自信を持って答えることができるだろうか?PMOや品質マネジメントなど、支援スタッフであれば、当然、自信を持って答えることができるだろう。プロジェクトマネージャーであるあなたはどうだろうか?
◆計画の作り方は目的によって異なる
実はこの答えに関係してくるのが上の質問である。つまり、何のために計画をしているのか?これが決まらない限り、見積もりに必要な精度というのは出てきようがないことはお分かりいただけるだろう。たとえば、作業時間をとってみよう。その仕事が手順の決まった作業であり、作業全体のあわせ込みをしたいのであれば、見積もりは本来の意味で見積もり(estimate)であり、たとえば、個々の作業時間の見積もりはアクティビティの時間の1%以内の誤差といった見積もりが要求されるかもしれない。ところが、ワークショップ方式で、ある作業単位を何人かでその場で決めながらやるのであれば、見積もりは目標時間としての意味の方が大きい。したがって、精度そのものより、妥当性とか、納得性とかの方が重要になる。
このように同じ見積もりをするという作業であっても目的が異なるのだ。
◆「目的のマネジメント」をしよう!
計画に限らず、企画立案から始まって、クロージングまで、プロジェクトマネジメントのすべての作業は意味のないものはない(はずである)。プロジェクトマネジメント作業を行う際には常に、その作業の目的を確認しながら行うことが必要である。もし、目的がないとすれば、そのマネジメント作業は不要である。
そして、何よりも重要なことは、個々のマネジメント作業の目的が、冒頭に述べたプロジェクト憲章に書かれているプロジェクト全体の目的に整合していることを確認することである。たとえば、プロジェクトの目的が、顧客のビジネスの早急な立ち上げにコミットすることであったとする。これに対して、より正確に状況を把握するために膨大な進捗報告書の提出を義務付けていたとする。このこと自体が悪いわけではない。しかし、プロジェクトの目的とマネジメント作業の目的があっていないことになる。
このような状況があれば、マネジメント作業の目的を変える必要がある。言い換えると、プロジェクトマネジメント計画書の変更が必要になる。
プロジェクトにおいては、上に述べたような「目的のマネジメント」が不可欠である
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士 株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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