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第70回(2004.11.22) 
PMstye流プロジェクト思考(1)

いま、あなたが従事しているプロジェクトでは、次のうちのいくつが該当しますか?

 ・さまざまな利害関係者がいる
 ・過去に経験したことのない要素がある
 ・厳密な納期が決まっており、納期遅延ですべてが水の泡となる
 ・計画を変更することが前提になっている
 ・実行組織がクロスファンクショナルなバーチャル組織になっている
 ・目的が達成できれば、プロジェクトは終わる

◆プロジェクトがあって、プロジェクトマネジメントがある
当たり前の話だが、プロジェクトがあってプロジェクトマネジメントがある。このもっとも当たり前の部分があまり考えられていないことが多い。

一言でいえば、「プロジェクト」という言霊に振り回され、プロジェクトと称して行っている仕事がうまくいっていない。じゃあ、プロジェクトマネジメントを入れるかという発想でプロジェクトマネジメントの導入をしている企業が実に多いのである。では、プロジェクトとは何かという話であるが、たとえば、よく使われる定義に以下のような定義がある。

在来組織を横断して,一時的に組織化された人的資源と非人的経営資源の統合による活動であり,一定の時間的制限の中で,日程,費用,技術上の明確に定められた目標の達成を目指した計画

この定義を見てもそうだが、一般的に考えて、プロジェクトにはいくつかの性格がある。それが冒頭に書いた6つに代表されるような性格である。

プロジェクトマネジメントとは当たり前のことだが、プロジェクトに適用するから効力を発揮する。たとえば、官僚組織にプロジェクトマネジメントを適用したとしても、ほとんど無意味である。あるいは、ライン組織に適用してもあまり有効ではないだろう。

こんな当たり前のことがなぜか忘れ去られている。


◆プロジェクトの性格とプロジェクトマネジメントの発想

このことを、もう少し、掘り下げて考えてみよう。冒頭に書いた6つの性格は、以下のようなプロジェクトマネジメントの要素マネジメントを必要とする。

 ・さまざまな利害関係者がいる
    → ステークホルダマネジメント、コミュニケーションマネジメント、
      コストマネジメント

 ・過去に経験したことのない要素がある
    → リスクマネジメント、品質マネジメント、調達マネジメント

 ・厳密な納期が決まっており、納期遅延ですべてが水の泡となる
    → タイムマネジメント、品質マネジメント

 ・計画を変更することが前提になっている
    → 統合マネジメント、スコープマネジメント

 ・実行組織がクロスファンクショナルなバーチャル組織になっている
    → 人的資源マネジメント、コミュニケーションマネジメント

 ・目的が達成できれば、プロジェクトは終わる
    → スコープマネジメント

たとえば、過去に経験したことのない要素があるという性格がある。ここでいう要素とは、技術、スケジュール(時間)、体制など、あらゆるものが考えられる。このような性格があって初めてリスクマネジメントが本当の意味を持ってくる。ところが、コピー的なリピート業務でリスクマネジメントを適用しようとすると、プロセスのあら捜しをはじめ、時間を費やし、リスクマネジメントの「ための」リスク対策を講じ、
それがプロジェクトの納期を圧迫するようなことになりかねない。逆に言えば、過去に経験したことのない要素があるから、リスクマネジメントをしなくてはならない。あるいは、プロダクトの品質だけではなく、プロセス品質について考えなくてはならない、あるいは、統合マネジメントがポイントになる。こういうプロジェクトマネジメントへのニーズが出てくるのである。


◆プロジェクト思考とは

さて、このようなマネジメントに対するニーズを考えてみると、プロジェクトをうまく実施するためには、マネジメントにも、作業(パフォーマンス)にも、プロジェクトであることを踏まえたものの考え方や心構えが必要である。たとえば、上の例で、新しい要素があるのにメンバーは無頓着だったとすると、リスクマネジメントは空回りする。リスクに対する認識が薄くなるためである。このような考え方や心構えをプロジェクト思考という。
 
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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