◆他人の行動に責任を持つ
その最たるものは、メンバーの行動に対して責任を持つということだろう。行動と責任の基本は自分の行動に対して責任を持つというものだ。ところが、マネジャーやプロジェクトマネジャーはメンバーという他人の行動に対して責任を持たなくてはならない。
このつじつまを合わせる一つの方法が、権限である。メンバーの行動を制限する(指示する)権限を持ち、同時に責任も持つ。組織の基本である。ところが、プロジェクトマネジャーに限って言えば、メンバーに対して必ずしも権限を持たない。つまり、
制限や指示をする権限を持たないメンバーの行動に対して責任を持つ
というジレンマを抱え込んでいるのだ。
◆ジレンマがジレンマを呼ぶ
さらに、このジレンマは上に述べた、成果に焦点を当てるために、人に注意しなくてはならないというジレンマに関連してくる。権限を持たずにメンバーの行動に責任を持つための一つの方法は、成果に焦点を当て、成果が出ればOKという風にすることだ。しかし、上のようなジレンマを抱え、結局、人に注意を払わなくてはならないとすれば、同じ問題に行き当たることになる。
マネジメントが理屈だけではできないのはこのようなジレンマによるところが多い。センスのよいマネジャーは、ジレンマをうまく解消する。
◆ジレンマを解消する方法
彼らは何をしているのか。ジレンマを解消するには、一歩引いてから大局的にものをみることが必要である。ジレンマになっているところだけではなく、全体がどうなってそのジレンマが生じているかを把握することが重要である。その上で、そのジレンマを解消するためにもっとも手のかからない方法は何かを見つける。
その方法は一通りではないし、問題解決をしようとしているプロジェクトマネジャーがどのような強みを持っているかによって変わる。たとえば、社内人脈が豊富であれば、知人のエキスパートをメンバーのメンターを頼むというのは、もっとも簡単にできる方法かもしれない。人を乗せるのがうまければ、メンバーをのせて、勢いで前に進めるように背中を押すことも一つの方法だろう。
このような方法はシステム思考でいう「レバレッジ」であり、プロジェクトマネジャーが大局観を身につけ、ジレンマを解消するには、
システム思考を身につけるとよい。
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