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第179回(2008.04.01)
組織が行うべきプロジェクトマネジメント(6)
〜ビジネスの視点からのプロジェクトの評価・選定 |
◆はじめに
前回は、まず、妥当な戦略が必要であることを述べた。戦略に対して、プロジェクトの妥当性を評価する方法が必要である。
プロジェクトは
(1)ビジネスの視点
(2)財務的視点
(3)実行の視点
の3つの視点から評価される必要がある。ビジネスの視点からの評価は、そのプロジェクトを実施することが、事業戦略に対して投資対効果として適切かという視点からの評価である。財務的視点は文字通り財務的な視点である。3つ目の実行の視点というのはそのプロジェクトが現状の組織能力で実行可能かどうかという視点からの評価である。
では、それぞれについて、ビジネス視点からの評価からひとつずつ見ていこう。
◆ビジネス上のメリット
まず、最初は、ビジネス上のメリットである。これはよく知られているように、
・収益の増加
・顧客の増加
・市場シェアの拡大
・市場における知名度の向上
・ビジネスのグローバル化
などを上げることができる。これについては改めて説明する必要はないだろう。
◆原価企画
次に、戦略の基盤となる原価企画効果としての評価視点がある。これは、プロジェクトコストに見合うだけのコスト効果がもたらされるかどうかであり、たとえば、
・製品コスト削減への道筋を描けるか
・プロジェクトコストがまかなえる製品やサービスの価格戦略がとれるか・新しいビジネス、ビジネスの拡大、特化されたビジネスを生み出す製品やサービスの価格戦略がとれるか
・コストマネジメントの目的がリソースの活用や最適化とうまく整合しているか
といった視点が考えられる。
◆品質面と経営へのレバレッジ
三番目の評価視点は、製品やサービスの品質面からの評価である。
・品質が計測可能で、かつ、客観性があるか
・高品質の製品やサービスを市場に投入できるか
・業界で最高品質の製品やサービスを提供しているか
といった視点である。ここで、重要なポイントは一番目の項目、すなわち、成果のアカウンタビリティである。この部分をあいまいにしてしまうと、評価全体が意味をなさなくなるので、注意する必要がある。
どのような戦略を取るとしても、だいたい、こんなものだと思うが、戦略によってはもう一つのして点が必要になる。マネジメント的な視点で
・新商品や新サービスの開発機会になるか
・新技術の獲得機会になるか
といった経営全般に対してどの程度のレバレッジを持っているかを評価したい場合もある。
◆戦略と指標の関係
ビジネスの視点からの評価は、以上のような視点の中から戦略に応じて必要な視点を設定し、その視点に対して具体的に指標化して評価していく。どのように指標として評価するかも戦略によって変わってくることに注意する必要がある。一例をあげるなら、収益という視点はどのような戦略をとろうと必ず必要な視点であるが、具体的な指標として収益率を取るか、収益金額を取るかは戦略によって異なる。
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士 株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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