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第128回(2006.12.26)
ウィングを広げよう |
今年最後の戦略ノートになるので、問題提起と抱負を述べる。テーマは「ウィングを広げよう」。
◆プロジェクトの成功法則の半分は「技術」?
この何年かのプロジェクトマネジメントの普及には目覚しいものがある。一方で、製品固有のマネジメントへの意識が薄くなっており、プロジェクトマネジメントがすべてを解決するような錯覚を起こしている企業すらある。
先日、日本プロジェクトマネジメント協会の活動で富士通の方から面白い話を聞いた。プロジェクトの成功要因を6つ挙げると、上位3つは技術力になるという話だ。
よく聞いてみると、技術力だといっているが、実は、開発マネジメントである。詳しくは、こちらを読んでほしい。
富士通版 プロジェクトマネジメントの成功法則
プロジェクトマネジメントの中では、開発マネジメントや技術マネジメントは技術として扱われることが多いが、実際にはどのような関係として捉えればよいのだろうか?
◆プロジェクトのマネジメントだけで十分か
プロジェクトマネジメントというのはプロジェクトのライフサイクルをマネジメントするための手法である。プロジェクトをどのようなスコープで捉えるかにもよるが、一般的にいえば、プロジェクトはプロダクトのライフサイクルの一部を成しているこ
とが多い。
例えば、商品開発(ものづくり)プロジェクトでいえば、商品を構想したり、あるいは生産することはプロジェクトのライフサイクルには含まれない。SIプロジェクトでも、営業や引渡し後の対応はライフサイクルの中に含まれないことが多い。
これをマネジメントとして考えると、プロジェクトのマネジメントは、プロダクトのマネジメント、あるいはプログラムのマネジメントの一部をなすものに過ぎない。
組織の中で、まず、改善の手は現場に伸びる。プロジェクトマネジメントは現場のマネジメントである。現場がうまく行きだすと、より上位のマネジメントの仕組みが問題になる。今の日本のプロジェクトマネジメント先進企業はまさにこの状況にある。現場だけの問題でプロジェクトが失敗することはなくなった。
◆プロダクトのマネジメントが必要
つまり、プロダクトのマネジメントを行わないと、思ったような成果が得られないことが分かってきた状況になってきた。もちろん、それで今までとは格段の成果が得られるようになった企業も少なくない。しかし、
・予算内・納期内でプロジェクトを仕上げたのに、儲からないSIプロジェクト
・予定通りの売値で、予定通りの時期に発売したのに売れなかった商品開発
などといった例は珍しくない。これは、まさにプロダクトのマネジメントに問題がある。
顧客価値が適切にプラニングできなかった、適正な営業活動、マーケティング活動ができなかったなどである。このようにプロダクトのライフサイクルを設定し、プロダクトが計画通りの付加価値を生み出すようにマネジメントする活動をプロダクトマネジメント、あるいはプログラムマネジメントという(この言葉の定義は、マネジメント論で使われるもので、PMI(R)が使っているプログラムマネジメントという言葉とは意味が異なるので注意してほしい)。
◆SIでもプロダクトマネジメントは必要
このレベルでは、SIも製品開発も大きな違いはない。「如何に顧客に価値を提案するか」から始まり、「その価値を如何に実現するか」、そして、「その価値を如何に顧客に認知させるか」といったところまでがマネジメントの関心になる。
プロジェクトマネジメントは、プロダクトマネジメントの一要素であり、プロジェクトマネジャーは、プロジェクトの外部環境して、どのようなプロダクトマネジメントが行われているかをしっかりと認識して、プロジェクトをマネジメントしていく必要がある。
◆もう一つのPM養成マガジン
今まで、このメルマガはこのような認識の中でプロジェクトマネジメントのあり方について論じてきた。このスタンスはこれからも変わらないが、上に述べたように、プロダクトマネジメントやプログラムマネジメントを適切に行う必要が生じてきたので、少し、そのあたりの問題についても意見を発信をしていきたいと思っている。そのために、
プロダクトマネジャー養成マガジン
というメルマガを発刊することになった。このメルマガではプロジェクト/プログラムマネジメントはもちろんだが、マーケティングプラニング、バリュープラニング、プロセスマネジメントなどについても議論していく予定だ。
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士 株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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