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第127回(2006.12.19)
計画を作るというのはどういう仕事か |
◆計画とはどういう仕事か?
前回からの続き
第126回 計画と見積もり
において、計画を作るというのと見積もりを作るというのはどのような違いがあるのかを論じた。前回、議論しなかったもう一つの視点が今回の議論である。つまり、「計画を作るというのは何をすることなのか」。
この話の根っこも見積もりにある。見積もり作業というのは基本的にはデスクワークである。前回の議論からも分かるように見積もりには正解(根拠)があり、その根拠に基づいて行う活動である。その意味で、ステークホルダとの調整がなくてもできる。
◆計画に伴う調整
しかし、計画をするという作業はそうではない。さまざまな調整を伴う作業である。
・プロジェクトの実行目的に対する合意
・プロジェクト納期に対する調整
・人的リソースの確保をめぐる調整
・予算をめぐる調整
・損益をめぐる調整
・作業時間に対する調整
・採用技術に対する調整
・品質基準に対する調整
・顧客作業スケジュールに関する調整
などさまざまな調整があって初めて、プロジェクト計画は出来上がる。これらの調整をすることなく、デスクワークで計画を作ると、実行できない計画になる。逆にいえば、計画書に書かれる計画は、すべてウラが取れていて、その意味で根拠のあるものでなくてはならない。この点を認識しておく必要がある。
計画というのは見積もりでもないが、あるべき姿でもない。計画は何かに裏打ちされたものでなくてはならない。このような交渉、調整を行いながら計画を策定するのだ。
しかし、現実問題を考えると、計画を作る時間は決して十分には取れない。そこで、机上の計画を作っておいて、プロジェクトを実行しながらその内容を調整しようという発想になる。実際に、プロジェクト着手時には調整できないもの、決められないものがあるのも事実だ。例えば、リソースの確保の調整をプロジェクト作業を着手する前に行うのは難しい。どのくらいのリソースが必要なのかが見えないことが多いからだ。
◆計画をマネジメントするという発想
そこで、必要になるのが、「計画をマネジメントする」という発想である。その一つの方法は段階的詳細化であるが、要するに、意思決定の手順や時期を決めておいて、その段取りに従って計画を作る、あるいは見直しながら、その計画を使ってプロジェクトをまわしていくという発想である。
前回述べた見積もりとは異なる計画、そして、計画のマネジメントという発想があって初めて有効な計画を作り、計画を実行することができる。
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士 株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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