第3回(2006.10.13)
プログラムの位置づけ
 

さて、前回、2回、イントロな話をしてきたが、そろそろ、本題に入っていく。今回からプログラムマネジメントについて説明する。


◆経営戦略、事業戦略とプログラム

この連載では、プログラムを以下のように位置づける。

第1回でも述べたが、企業には経営戦略があり、事業には事業戦略がある。経営戦略や事業戦略を実現するための戦略課題がある。戦略課題には

 ・経営戦略の実現に向けて今すべき解決すべき課題
 ・経営戦略を実現するために本質的な解決が求められる課題

という2つがある。戦略課題はこのように、複数の短期的課題、長期的課題が入り混じり、それらの課題群に対して、どのような順序で、どのような優先度で取り組んでいけばよいかをマネジメントしていく必要がある。

これらの戦略課題群はプログラムとして実行される。以下に例を示す。

【あるSI企業における戦略課題の例】
経営戦略:顧客価値の増大
事業戦略1:顧客要求仕様の実現と品質
 戦略課題1:顧客満足度向上プログラムの推進
 戦略課題2:顧客品質メトリクスの導入と展開
 戦略課題3:プロジェクト品質の向上
 戦略課題4:・・・
事業戦略2:アジャイル開発の実現
 ・・・
という戦略課題を設定したとしよう。この場合、事業戦略単位、あるいは、経営戦略全体での戦略課題全体をプログラムとして捉える。


◆プログラムを構成するプロジェクトのイニシエート

さらに、プログラムの目的を達成するために、複数のプロジェクトがイニシエートされる。この場合、一つの戦略課題を解決するプロジェクトを設計し、組み立てていくのが現実的である。例えば、戦略課題1の「顧客満足度向上プログラムの推進」であれば、

 ・顧客満足度測定プロセスの導入
 ・顧客トレードオフ調停プロセスの導入
 ・顧客満足度の継続的改善委員会の設置
 ・RFPの作成支援の実施
 ・・・

これらのプログラムの中には、互いに深い関係のあるものと、まったく関係のないものがあることに注意する。上の例で「顧客満足度測定プロセスの導入と「顧客トレードオフ調停プロセスの導入」はおそらく、実行順に前後関係が出てくる。しかし、「RFPの作成支援の実施」はこれらと無関係に実行される。

このように戦略課題の解決は、プロジェクトA、B、CをやればOKといったものではなく、いろいろな策(プロジェクト)を打つ中で、結果として実現されるようなものである。それをできるだけ早く、かつ、低コストで実現することがプログラムマネジメントの目的であるともいえる。

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