第139回(2007.04.03) 
続・ファシリテーティング・プロセス

前回は、ファシリテーティングプロセス(補助プロセス)とは何かという話をした。

 第138回 ファシリテーティング・プロセス

今回は、なぜ、PMBOK(R)ではコアプロセスとファシリテーティングプロセスの区別がなくなったかを考えてみたい。


◆ファシリテーティングプロセスとコアプロセスの違い

前回述べたようにファシリテーティングプロセスは、支援(補助)の意味合いであった。何の支援かというと、いうまでもなくプロジェクト目標達成支援である。

このような考え方の背景に何があるかということを考えてみると、スコープマネジメント、タイムマネジメント、コストマネジメントに該当するプロセスやその中で使われる手法と、ファシリテーティングプロセスで使われる手法、例えば、品質マネジメントのプロセス・手法、コミュニケーションマネジメントのプロセス・手法、リスクマネジメントのプロセス・手法を比較した場合、プロジェクト目標の達成に対する貢献という点で差があるという認識であった。もちろん、コアプロセスの方が貢献が大きい。

非常に乱暴にいえば、スコープマネジメント、タイムマネジメント、コストマネジメントのコアプロセスとその手法だけで、プロジェクトの目標は達成できるが、もしできなければ、ファシリテーティングプロセスを適用すればよいという発想だった。


◆制約が厳しくなり、軽視できなくなったファシリテーティング

実際問題として考えてみると、このような状況というのは、プロジェクトのマネジメント上の制約条件が緩いときに当てはまる。しかし、制約条件がきつくなると当てはまらない。制約条件がきついと、普通にやっていてはできない。何か工夫が必要である。要員調達のスピードかもしれないし、メンバーの動機付けかもしれない。より合理的な品質目標の達成計画かもしれない。あるいは、リスクを予測し、無駄な作業を無くすことかもしれない。とにかく、なんらかの工夫が必要である。

これらの工夫はファシリテーションプロセスとして実行されることになる。そのように考えると、スコープ、スケジュール、コストと、それらの目標達成支援プロセスには重要性の区別はない。少なくとも、一方が主で、一方が補助だという認識はなくなる。言い換えると、品質マネジメントプロセスも、コミュニケーションマネジメントプロセスも、リソースマネジメントプロセスも、リスクマネジメントプロセスもプロジェクト目標の達成のために不可欠なのだ。


◆問題の矮小化は命取り、あくまでもマネジメントとして取り組もう

これがファシリテーティングプロセスが強化されてきた理由であるが、この問題をヒューマンスキルの問題だとか、あるいはリスクマネジメントの問題だとかいうように、局所的に矮小化して捉えることはあまり得策ではない。はやり、プロジェクトのコントロールに有効ないくつかのファシリテーティングプロセスがあり、その中から、適切な方法を選んで、組み合わせて、目標達成を実現していくような発想が必要である。

この際に重要なことは、答え一発のようなソリューションの存在に気をとられないことだ。上に述べたような状況では、そんなソリューションなどまずない。いろいろなファシリテーションプロセスを実施しながら、ベースラインを目安にして、できるだけ、ベースラインから離れないようにプロジェクトを進めていく。これがプロジェクトマネジメントマネジメントである。


◆プロジェクトマネジャーの道具箱の重要性

このようなプロジェクトマネジメント観を持つと、ノウハウやプロセスよりも、PMコンピテンシーが大切だということが分かってくる。つまり、このような状況では、定石といったものはあまり役に立たない。ベースラインから引き離そうとする原因に対して、いかにたくさんの防ぐ手立てを持つかが勝負になる。つまり、プロジェクトマネジメントコンピテンシーの問題になってくる。

この話から、何か連想をすることはないだろうか?そう、結局、道具箱にどれだけの道具をもっていて、どれだけ適切に使えるかが勝負なのだ。

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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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