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第17回(2006.09.08)
モンテカルロ・シミュレーション
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 |
前回は、「定性的リスク分析」のツールと技法であるリスクマトリクスを取り上げました。
リスクマトリクス
今回は「定量的リスク分析」のツールと技法であるデシジョン・ツリー分析とモンテカルロ・シミュレーションを取り上げます。
「定量的リスク分析」では、定性的リスク分析で高い優先順位をつけたリスクについて、リスク事象の影響を分析し、数値化することで等級化します。
このプロセスでは、デシジョン・ツリー分析やモンテカルロ・シミュレーションなどを使用して、以下のことを行います。
・想定されるプロジェクトの成果と、その発生確率を定量化・プロジェクト目標を達成できる確率の査定・プロジェクトでの個々のリスクの寄与率を定量化し、最も注意すべきリスクを特定・不確実な状況下で、プロジェクトマネジメント上の最善の意思決定を行う
◆デシジョン・ツリー分析
デシジョン・ツリー分析では、個々の可能な選択肢とそれぞれの選択をした場合に想定されるシナリオの関係を表したデシジョン・ツリー図を作成します。そして、それぞれの選択肢におけるコストと想定されるシナリオの発生確率とそのリターン(見返り)を組み合わせたものです。すべてのリターンと発生確率が定量化されていれば、リターンと発生確率を乗じることでリターンの期待値が計算され、コストと比較することで最善の意思決定を行うことができます。
このように、デシジョン・ツリー分析は定量化されたデータを用いるツールです。
詳しくはこちら。
◆モンテカルロ・シミュレーション
通常のリスク分析では、最善のケースと最悪のケースを想定し、意思決定を行うことで十分ですが、数百億単位のプロジェクトでは、これだけでは事足らず、もう少し精緻なリスク分析が必要になってくる場合があります。
モンテカルロ・シミュレーションはこのような場合に用いるツールであり、専用のプログラムを用いてリスク分析を行います。
プログラムは、不確実な変数にある範囲内の乱数を発生させて、繰り返しシミュレーションを行い、その結果を度数分布表で図示します。
プログラムへの入力値は、プロジェクトでの要素単位のコストや各アクティビティの所要期間などであり、それらが三角分布やベータ分布などの確率分布に従うとして、乱数を発生させて、シミュレーションを行います。
また、シミュレーションの試行回数を増やすこと精度を上げることができます。
そして、このシミュレーションの結果でプロジェクトのコスト・リスク分布(プロジ
ェクトが完了したときのコストとその確率の関係)やスケジュール・リスク分布(プロジェクトが完了する日程とその確率との関係)を求め、結果の範囲と確率分布が把握でき、プロジェクト目標(コスト、納期)を達成できる確率の査定を行います。
つまり、このコストでこの納期でプロジェクトが完了する確率は何%ということが、モンテカルロ・シミュレーションを行うことで求めることができます。
次回も「定量的リスク分析」のツールと技法である感度分析を取り上げます。
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