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第89回(2006.02.13) 
プロジェクトを手の内に入れる(2)

◆プロジェクトを手の内に入れる3つの条件

プロジェクトを手の内にいれるには、まず、プロジェクトがどのような特性を持っているか、そして、どのような状態にあるかをよく知る必要がある。そして、うまく変えられる必要がある。この3点である。


◆プロジェクトの特性を知る

プロジェクトの特性を十分知るにはプロジェクトの分析が必要である。プロジェクトの特性とは

・戦略的な重要性
・市場的な重要性
・技術的な新規性
・プロジェクトリスク、あるいはビジネスリスクの大きさ
・期間の長さ

といったものを指す。プロジェクトマネジャーからみれば、これらは既にそのプロジェクトを任された時点で決まっていることの方が多い。しかし、仮に決まっていたとしてもプロジェクト憲章などのドキュメントを分析し、自らの認識を作っておく必要がある。

重要なことはこの点も踏まえて、プロジェクトの収益構造をよく理解しておくことである。最も単純な話は、そのプロジェクトのROI (return on investment) である。請負プロジェクトの場合には収益そのものになる。ROIを踏まえて、プロジェクトに許可された予算の意味を理解することが重要である。ROIを理解していてはじめて、計画から逸脱した場合に適切な判断を行うことが可能になる。


◆プロジェクトの状態を知る

第2は、プロジェクトがどのような状態にあるかを知ることだ。プロジェクトの状態を知るには、しっかりとした計画があり、計画に対してどのような状態にあるかをきちんと計測できる必要がある。プロジェクトの状態として把握しておきたいものはいくつかある。一つはQCDであり、二つ目はスコープである。そして、3つ目はリスクである。いずれも、計画に対してどうだという視点で現在の状態を理解できる。


◆プロジェクトのダイナミックスを知る

3つ目はうまく変えられることである。つまり、計画変更を適切に行うことだ。そのためには、前に述べた2つの点がきちんとできていることが条件になる。つまり、プロジェクトの特性を知り、状態を知っていること。

その上で、プロジェクトのダイナミックスをよく理解しておくことが必要である。例えば、スケジュールを例にとれば、スケジュールが徐々に遅れている場合と、いきなり遅れ始めた場合には、当然、原因的なものが違うし、対処(変え方)も変わってくる。例えば、PMBOKの概念に是正という概念があるが、是正をするかしないか、あるいは計画変更をするかは、単に閾値を超えたかどうかというような視点だけでは判断できない。上に述べたようなダイナミックスをきちんと把握した上で判断し行動できてはじめて手の内にいれているといえよう。

このように考えてみると、プロジェクトを手の内にいれる、つまり、適切にコントロールしようと思えば、そのプロジェクトに本気にコミットメントしないと難しいことが分かる。プロジェクトに限らず、自分の仕事に対して、このような対処ができることはプロフェッショナルとしては当たり前のことかもしれない。



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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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