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第81回(2005.06.09)
マネジメント行動には目的がある |
◆なぜ、WBSを作るのか
5月に「PMBOK for Dummies」というイベントの中で、講師の野村さんが盛んにWBSがPMBOK(R)3版では標準プロセスに入ったことに対する議論をしようと呼び水をしていた。残念ながらその場に集まってくださった30名以上のPMP(R)の方には、通じたのか、通じなかったのかわからないが、野村さんのイメージしたような議論にはならなかったようである。
参考までに、好川が「プロジェクトを成功させる仕事術」(フルバージョン)のほうで連載している「頑張れ!PM101の鉄則」の中で、WBSについて書いたものがある。
「鉄則7:WBSは目的に応じて作る」)
野村さんの疑問には共感を覚える。プロジェクトマネジメントが普及してきたのはよいことだが、Howの議論が多すぎる。もっといえば、Howを適用したがうまくいかず、もう理論はよい、(ベスト)プラクティスを知りたいとなりつつある。これはHowどころか、パターンである。
◆プロジェクトマネジメントは「正解」を与えない
好川が、日本で一番よいプロジェクトマネジメントの書籍だと常々推薦している、PMコンセプツの長尾清一さんの
先制型プロジェクトマネジメント
で、長尾さんが最初に言っていることは、「プロジェクトマネジメントには成功につながる正解がある」という誤解があるということである。
実は、同様の指摘は、長尾さんに限らず、多くの人がしている。
しかし、にも、かかわらず、Whyの議論をしない。つまり、これをすればうまく行くとは信じていないのだが、「とりあえず、やってみる」的な発想になっているのだ
。
こういうアプローチを全面的に否定するつもりもないが、やはり、重要なのは、正解がないながらも与えているツールを、如何にすればうまく使えるのかという点である。これがマネジメントの本分であるし、また、プロジェクトマネージャーのコンピテンシーの問題でもある。
◆もっとWhyを考えよう
この点を考えようとすれば、Whyを考えるしかないのだ。なぜ、WBSを作るのか、なぜ、RAMを作るのか、etc.
ちなみに、長尾さんの著書は、その点を明確に主張しながら、書かれている。これが、お奨めしている理由である。
また、好川が、野村さんのメルマガに連載している、「PMBOK(R)なぜなぜ大辞典」という記事は同じような発想で書いている。
このように、常に、Whyを考えながらプロジェクトマネジメントのツールを使っていくことが、PMコンピテンシーの向上につながっていくことはいうまでもない。
日本の製造業にはWhyのDNAがある。ゆえに、競争力を持ちえた。プロジェクトマネジメントを企業の競争力としようとすれば、必要なDNAのひとつは間違いなくWhyである。
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士 株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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読者からのコメント |
少々驚きつつも、そう考えると納得がいくことが多い。
WHYのない方が多いということに。
効率化の追求により、大規模案件は分業化され、確かに効率は上がりました。
でも、分業化の恐ろしいところは、担当部分だけを一生懸命やればいい状態を作ってしまった。
なぜ、この作業をやるのか?なぜ、今必要なのか?
この質問は、禁句であり、組織の中では、従順でないレッテルを貼られる。
人は単脳ではないはず。
最初はなぜを発信する気力が皆さんにもあったはず。でも、組織の渦に巻かれて無くなってしまったような気がする。
how toだけの機械人間ばかり。 |
gogopmp(29歳・フリーエンジニア) |
IT系の仕事のやり方というのは転機にきているように思います。
付加価値がどんどん、減少している中で、手当たり次第仕事を取ってきて、プロジェクトマネジメントのような管理のしかたでよいかどうかという点です。WHYとHowtoの問題もそのような文脈の中で語られるのではないでしょうか?
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好川 哲人 |
プロジェクトマネジメントを考えるときに、失敗からの経験が大いに役立つことがあります。
僕たちの会社では、失敗した要因の本質を追求するケースでWHYを5回繰り返すと、根本原因が見えてくると教えられています。
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敏(38歳・SE) |
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