|
第196回(2008.10.07)
プロジェティスタのプロジェクトマネジメント(4) |
◆二種類のプロジェクト
ブログでも少し書いたが、プロジェクトには、2種類ある。
(1)何を作るかを考えるプロジェクト
(2)どう作るかを考えるプロジェクト
の2つである。プロジェクトマネジメントは何を対象にしているかをあまり考えずにここまできている。というよりは、デフォルトで(2)を念頭においているのかもしれない。
◆どう作るかだけで競争する限界とプロジェクト
これまで日本の企業は、どう作るかに競争のすべてかけてきた。標準化であり、プロセス化であり、また、それらを前提にした改善である。ところがバブルの崩壊後くらいから、なんとなくうまく回らなくなってきた。ニーズが多様化し、ニーズの変化も早くなってきた。そこで仕事のやり方をもっと柔軟性のあるものに変えようとした。
最初の段階ではあまり明確にならなかったが、プロジェクトマネジメントにおいてもいろいろと工夫し、改善をしているうちに、どんどんと祖先帰りしてきた。プロジェクトマネジメントは
何を作るかが決まっているという前提で
どう作るかにうまく対応できるプロジェクトのマネジメント
になりつつある。
これは本来のプロジェクトマネジメントの導入目的である、何を作るかを柔軟に考え、市場のニーズにうまく対応することから離れていっている。
プロジェクトマネジメント的にいえば、目的を固定し、その目的を達成するために目標を柔軟にマネジメントしていくことにあった。
◆角を矯めて牛を殺すプロジェクトマネジメント
ところが、今は、
目的はあまり気にせず、目的から与えられた目標をクリアすることによって
自動的に目的が達成される
という形になっていることが多い。
これはこれで、ひとつの仕事の仕方には違いないが、プロジェクトマネジメントのひとつの特徴でもあるプロアクティブの適用がプロジェクトの事前レビューの強化をもたらし、やればやるほど、プロジェクト制を導入した本来の目的から離れていくという皮肉な結果を生み出している。実際に、プロジェクト作業のスタート段階では、プロジェクトの目標修正の余地がなくなっている企業も少なくない。
◆フロントローディングとプロアクティブ
フロントローディングという考え方が製造業に限らず取り入れられようとしている。このことと、事前レビューの強化というのが混同されている傾向がある。いうまでもなく、フロントローディングは設計の自由度を犠牲にするものではない。むしろ、自由度を作るために、早い段階で検討しようというのがフロントローディングである。つまり、フロントローディングは何を作るかをきちんと考えるために行うものである。
そして、そのような状況を作るのがプロアクティブなマネジメントである。
プロジェティスタの行うプロジェクトは、何を作るかを考えるプロジェクトでなくてはならない。そのためには、フロントローディングなプロセスと、プロアクティブなマネジメントを徹底しなくてはならない。
◆関連するセミナーを開催します
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆PM養成講座(全5回) ◆(25PDU's)
日時・場所:【東京】2019年 04月 22日(月)〜07月08日(月) 13:00-18:00(12:40受付開始) ちよだプラットフォームスクウェア(東京都千代田区) 【大阪】2017年 10月 13日(金)〜12月08日(金) 13:00-18:00(12:40受付開始) 大阪市中央公会堂(大阪市北区) 講師:鈴木道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS) 詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/pmlist40.htm
主催:プロジェクトマネジメントオフィス、共催PMAJ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【カリキュラム】 第1回顧客対応力を身につける 【東京】2019年04月22日(月)13:00〜18:00 【大阪】2019年度下期 13:00〜18:00 第2回戦略的計画作成力を身につける 【東京】2019年05月13日(月)13:00〜18:00 【大阪】2019年度下期 13:00〜18:00 第3回プロジェクト完遂力を身につける 【東京】2019年06月03日(月)13:00〜18:00 【大阪】2019年度下期 13:00〜18:00 第4回チームをまとめる力を身につける 【東京】2019年06月24日(月)13:00〜18:00 【大阪】2019年度下期 13:00〜18:00 第5回プロジェクト品質実現力を身につける 【東京】2019年07月08日(月)13:00〜18:00 【大阪】2019年度下期 13:00〜18:00
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
|
|
前の記事 | 次の記事 | 記事一覧 |
|
著者紹介
好川哲人、MBA、技術士 株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
メルマガ紹介
本連載は、「PM養成マガジン」にて、連載しております。メルマガの登録は、こちらからできます。 |
スポンサードリンク |
|