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第195回(2008.09.16)
プロジェティスタのプロジェクトマネジメント(3)
〜すごいプロジェクトは自分で作れ |
◆権限がないとできない?!
前回は、価値デザインマトリクスを用いて、やりたいプロジェクトの姿を明確にしていくことの必要性を述べた。ただ、やりたいといえばやれるわけではない。評価項目の達成には力を貸してくれる上司も、成果願望の実現に力を貸してくれることは少ないかもしれない。評価項目は自分の成果になるが、成果願望は成果にはならない。このことをよく理解しておく必要がある。
このように言うと、きまって返ってくるのは「権限がないので仕方ない」、「そんな自由」はない。
この点についてトム・ピーターズは
権限がない人は判で押したように自分にそんな自由は与えられていないと嘆く。これは自分が能なしだといっているのに等しい。自由はいつもそこにある。ほとんどの人がそれを使おうとしないのだ。
「セクシープロジェクトで差をつけろ」。
と言っている。
◆企業での経験
僕は大学を卒業して三菱重工という会社に入ったが、大学よりも自由だった印象がある。大学の時の研究テーマの選定にはある種のパワーハラスメントがあった。しかし、会社に入ってからは、テーマであれ、アプローチであれ、スコープであれ、きちんと論理的に必要性を説明できれば実施できた。社内の研究開発だけの話ではない。お客様に対してもそのような提案をしていくことを求められた。顧客の要望を受け入れると、必ず、「君はなぜそのようにすることに決めたか」と突っ込まれる。「お客様がそのように望んでいるから」というのは論外だった。お客様の要求を受け入れるのなら、その要求を自分たち(ベンダー)の立場からきちんと妥当性のある意見にしないと社内で受け入れてもらえなかった。商売なので当然の話なのだが、たとえば、SIベンダーで今このような風土がある会社は少数派ではないかと思う。多数派はお客様の言うことは絶対だという風土だと思う。
ベンダーとして抗うポイントはスケジュールやコストだけ。いわゆる顧客「絶対」主義である。
三菱重工が上司が言っていたことは、まさに、「自由はいつもそこにある。使え。」というトム・ピーターズの言葉そのものだった。
◆自由を見つけるには、つまらない仕事がチャンス
自由を見つけるにはどうすればよいか?組織の誰もがつまらないと思っている仕事で、エンドユーザに注目することだ。SIプロジェクトだけを言っているわけではない。エンドユーザに注目することだ。エンドユーザを中心にして、顧客やマーケティング部門とは異なる仮説を作る。
トム・ピーターズも言っている。
成功するものはつまらない仕事に目を輝かせる。誰も気にしていないので、やりたいことができる
プロジェクトを任されたら、まず、そのプロジェクトにどのような自由があるかを考えて、プロジェクト憲章を作ろう。
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士 株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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