第137回(2007.03.20) 
続・プロジェクトマネジャーの道具箱

◆プロジェクトマネジメント課題とマネジメント規範行動

前回プロジェクトマネジメント課題に対して、道具箱から道具を取り出してきて、対応できるプロジェクトマネジャーになる必要性を述べた。では、マネジメント課題とはどのようなものだろうか?

もっともプリミティブな課題としては、PMBOK(R)の9つの知識領域をあげることができよう。すなわち、統合マネジメント、スコープマネジメント、タイムマネジメント、コストマネジメント、品質マネジメント、リスクマネジメント、人的資源マネジメント、調達マネジメント、コミュニケーションマネジメントの9つのマネジメントそのものをマネジメント課題だと捉えることができる。

これに対して、この課題をどのように解決していくかがマネジメント規範行動であるが、9つのマネジメントそのものをマネジメント課題だと捉えると、マネジメントの行動規範は難しいものがある。

プロジェクトマネジメントを計画とコントロールと分けて考えると、コントロールの行動規範は比較的明確である。計画の遵守である。ところが、計画というマネジメントの行動規範は非常に難しい。たとえば、タイムマネジメントやコストマネジメントでは正確な計画を作る、リスクマネジメントでは網羅的にリスク識別を行うなど、マネジメント行動規範として思い当たるものがあるが、それがどの程度、ゴール達成に
対して効果があるかは定かでない部分がある。

このようなアプローチで道具を準備しても、手探りになる可能性が大きい。


◆ベストプラクティスをマネジメント規範行動にする

そこで、考えられるのは、ベストプラクティスをマネジメント行動規範とする方法が考えられる。たとえば、計画だと

・ステークホルダニーズを分析する
・プロジェクトの方向性を明確にする
・実行しやすいスケジュールを作る
・プロジェクトの問題を未然に防ぐ
・利益を計画する
・プロジェクトに関わる全ての人の役割と責任を明確にする
・プロジェクトの実施体制を固める
・生産性の高いチームを作る

といったプラクティスが考えられる。また、コントロールでは、単に計画を遵守する以外に

・コミュニケーションを活性化させる
・スコープ変更をスムーズに行う
・スケジュール変更を最小限に留める
・リスク発生によるダメージを最小限に抑える
・最終コストを予想し、予算以内に収める
・顧客の満足する品質を実現する
・ステークホルダへの説明責任を果たす

などが考えられる。これに対して、どのようなツールが活用できるかを分析していき、道具箱に入れておく道具を決めると同時に、その使い方を考えていくアプローチが適切だろう。

◆道具箱の例:ステークホルダニーズを分析する

ステークホルダニーズを分析するための道具には、

 ・顧客ロードマップ
 ・重点課題管理
 ・プロジェクト品質の家

などがある。

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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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