第116回(2006.09.12) 
PMツールとは何か

◆何を標準化するか

前回は、標準のもつ意味について考えてみた。

プロジェクトマネジメントにおける標準の意味

では、実際に標準化の対象になるのは何だろうか?

まず、当然だが、方法論自身が標準化の対象になる。前回も述べたようにPMBOK(R)などがそうであるが、プロジェクトマネジメント方法論としての妥当性を保証するための標準ということになる。

次に、プロジェクトパフォーマンスも標準化の対象になる。これには多くの要素があるが、例えば、

プロジェクトがいつ始まり、いつ終わるか
満足な進捗の定義
プロジェクトの成功の定義
警戒すべき状態の定義
プロジェクトの選定の妥当性の定義

といったものである。これらは、標準として定義されていることが望まれる。同時に、個人のパフォーマンス、つまり、プロジェクトマネジャーのパフォーマンス、個々のメンバーのパフォーマンスも標準化の対象になる。

他にもいろいろと上げることができるが、よく標準化の対象になるのがプロジェクトマネジメントツールである。


◆PMツールとは何か

PM養成マガジンでは、鈴木道代さんが

PMBOK(R)のツールと技法を極める

という連載をやっているが、PMBOK(R)のプロであるPMPの人でもツールというと情報システム(PMIS)をイメージすることが多い。PMBOK(R)のツールとは手法、プロセス、プラクティス、手続きを実現するためのものであり、一義的にPMISを指すものではない。

例えば、スコープ定義を行うために、WBSというツールを使う。プロジェクトマネジメントに関する計画を行うために、プロジェクトマネジメント計画書というツール(テンプレート)を使う。これらがすべてツールである。

PMBOK(R)では技法とツールという区分をしているが、技法は定義済みの系統的な手順(アルゴリズム)のことである。

さて、ツールの方だが、前回の話をもう一度思い出してほしいのだが、ツールとはメソドロジーの適用を支援するすべてのものを指している。つまり、PMBOK(R)などのメソドロジーの実体である、手法やプロセス、プラクティス、ルールなどを適用を支援するツールである。ツールにはいろいろなものがある。つまり、コンピュータソフトウエアもあれば、テンプレートもある。思考法もあれば、専門家に聞くといったものもある。これらはすべてツールである。

ここで注意する必要があるのは、ツールを標準するとはどういうことかという点だ。
前回述べたように、標準とはメソドロジーが正しく適用されている基準になるものである。つまり、ツールはメソドロジーに対する標準があって、その標準をクリアできることを支援するものでなくてはならない。このような視点で、みなさんが普段使われているツールを見直してみてはどうだろうか?

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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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