第5回(2007.01.05)
プログラムマネジメントのアークテクチャー
 

◆プログラムマネジメントの3要素

今回はプログラムマネジメントとはどのようなマネジメントなのかということを考えてみたい。PMIのモデルによると3つの要素がある。

 ・ガバナンスマネジメント
 ・ベネフィットマネジメント
 ・プロセスマネジメント

である。本質的にはプログラムマネジメントはこの3つの要素からなるマネジメントであることは間違いない。問題はこれをどのように組み合わせてプログラムのマネジメントにしていくかだ。


◆プログラムガバナンスマネジメント

もっとも上位のくるのが(プログラム)ガバナンスのマネジメントである。ガバナンスのマネジメントは、プログラムが決められた運用をされているかどうかをチェックすることである。例えば、PMIの標準であれば、

1)プレプログラムの実施(パイロットの位置づけ)
2)プログラムの設定
3)プログラムマネジメントとメソドロジーの確立
4)プロジェクトの実施
5)プログラムの終結

という運用プロセスを定義し、これに従って、ガバナンスの管理を行うようになっている。ガバナンスのマネジメントの基本はゲートである。実際にプログラムの実行においてはステージゲートを設定している組織が多い。


◆ベネフィットとベネフィットマネジメント

ゲートでの判断の基準になるのが、ベネフィットである。ベネフィットという言葉はニュアンスが伝わる日本語がないので、違和感があればバリュー(価値)と置き換えてもよいと思う。いずれにしても、戦略を実行に落とし込む際には、戦略解釈をベネフィット、あるいは、バリューとして表現し、それを実現するまでの一連のマネジメントがベネフィットマネジメントである。

このようにベネフィットマネジメントは、ガバナンスマネジメントの補完的な役割を果たすマネジメントであるともいえるが、逆にガバナンスマネジメントの基準を与えるという意味でガバナンスマネジメントを支配しているとも見ることができる。その意味で、この2つは入り組み、相互に補完的な役割を果たすと考える方が分かりやすいかもしれない。

これらのマネジメントは流れは決めることができるが、マネジメントプロセスは定義しにくいだろう。PMIの標準や、P2Mがそうであるように、コンピテンシーで表現するほうが適している。その中でも、現状の比較をすれば、PMIの標準より、P2Mの方がより具体的なコンピテンシーを提示している。


◆マネジメントプロセス

もうひとつの構成要素が、プログラムマネジメントプロセスである。これについては、PMIはPMI、P2MはP2Mの方式がある。マネジメントプロセスについては、PMBOKからの流れがあり、PMIの方式の方が進んでいる。

ちなみに、PMI方式は、プロセス群はPMBOKと同じ立上げ、計画、実行、監視コントロール、終結の5つを設定し、それぞれ、以下のようなプロセスを定義している。

【立上げ】3プロセス
・プログラムの立上げ
・プログラムの承認
・チームの立上げ

【計画】14プロセス
・プログラムマネジメント計画
・インタフェース計画
・移行計画
・リソース計画
・スコープ定義
・プログラムWBS作成
・スケジュール作成
・コスト見積もりと予算化
・品質計画
・人的資源計画
・コミュニケーション計画
・リスク分析とリスクマネジメント計画
・調達計画
・契約計画

【実行プロセス】7プロセス
・プログラム実行の指揮と管理
・品質保証
・プログラムチームの編成
・プログラムチームの育成
・情報配布
・納入者回答依頼
・納入者選定

【監視コントロール】12プロセス
・統合変更管理
・プログラム作業の監視コントロール
・リソースコントロール
・イシューコントロール
・スコープコントロール
・スケジュールコントロール
・コストコントロール
・品質管理
・コミュニケーションコントロール
・実績報告
・リスク監視のコントロール
・プログラム契約

【終結】
・プログラム終結
・コンポーネント終結
・契約終結

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