第39回(2007.04.27)
システム思考(2)
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 
 

◆システム思考(2)

前回は、システム思考を取り上げ、その概略について述べました。

第38回 システム思考

今回は、システム思考の重要なツールである因果ループ図を取り上げます。
因果ループ図とは、名前の通り因果関係を図示したもので、ループになっています。

例えば、前回の交通渋滞の話ですと、次の道を拡張するとどうなるのかを考えてみます。

すると、最後は道を拡張するということに戻り、ループを作成することができます。

道を拡張する
→渋滞が減る
→その道の評判が上がる
→通行量が上がる
→渋滞が増える
→苦情が出る
→道を拡張する

ここで、何々すると何々になるという対処や行動を変数として、その変数が上がる・大きくなるのか、下がる・小さくなるのかを考えるために、上下・大小をとったものを変数としてみます。

道を拡張する:道幅
→渋滞が減る:渋滞
→その道の評判が上がる:評判
→通行量が上がる:車の流入量
→渋滞が増える:渋滞
→苦情が出る:評判
→道を拡張する:道幅

そして、このループの最初(ループなので、どこが最初でも一緒なのですが)の変数を大きくなる(上がる・増える)と、とプラスと考えて、次の変数は大きくなる(上がる・増える)のか、小さく(下がる・減る)のか、を考えます。
大きくなると大きくなる関係を同の関係、小さくなる関係を逆の関係と呼んでいます。

道を拡張する:道幅
↓道幅を広げると渋滞が減る Oppposite:O(逆の関係)
渋滞が減る:渋滞
↓渋滞が減ると評判が上がる Oppposite:O(逆の関係)
その道の評判が上がる:評判
↓評判が上がると車の流入が大きくなる Same:S(同の関係)
通行量が上がる:車の流入量
↓車の流入が大きくなると渋滞が増える Same:S(同の関係)
渋滞が増える:渋滞
↓渋滞が増えると評判が下がる Oppposite:O(逆の関係)
苦情が出る:評判
↓評判が下がると道幅を広げる Oppposite:O(逆の関係)
道を拡張する:道幅

S(同の関係)ばかりですと、ある変数が大きくなると次の関連のある変数が大きくなり次の変数も大きくなりますので、ループ図で元に戻ってきたときはますます大きくなり、どんどん大きくなるばかりです。

この関係を因果ループ図では、拡張ループ(R)と呼んでいます。

ループの中に1つでもOがありますと、
   大大大小小小小 と
大きくなるとから始まりOの関係のところで小さくなり、その後はSの関係ですので、小さくなると小さくなりと続き、小さくなるで元に戻ります。

この関係を因果ループ図では、平衡ループ(B)と呼んでいます。

2つのOの場合は、
   大大大小小大大 と元に元に戻ったときにはますます大きくなっています。

このように、Oの数が偶数であれば、拡張ループ(R)、奇数であれば、平衡ループ
(B)になります。

このループには、O(逆の関係)が4つあります。つまり、拡張ループ(R)です。
でも、よく見てみますと、渋滞と評判という変数がループの中に2回ずつ出てきています。すると、この変数でくくってみますと、単純な1つのループではなく、もう少し、複雑なループになるのでは、ないでしょうか。

次回は、因果ループ図について、もう少し詳しく取り上げます。

システム思考については、下記でも取り上げていますので、ご参照ください。

問題解決法:第3回 システム思考で複雑な問題に対処する 

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