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第86回(2005.11.14) 
チーム指向(3)〜チームの思考規範

◆チームの思考規範

前回、ITプロジェクト特有のチームの問題について述べたが、今回からはチームをチームとして機能させるにはどうすればよいかという点を考えてみたい。大きく分けると2つの視点が必要である。一つは、人間同士の相性のような問題である。チームの問題の中でこの問題はさせて通ることができないことはみなさんが実感されているとおりだろう。もうひとつの問題が行動プロセス、あるいはパフォーマンスの問題である。例えば、仲の悪い人が同じチームに加わると足の引っ張り合いをするので、パフォーマンスが下がる。といったことは必ずある。その意味で、この問題は一番目の組み合わせの問題と無関係ではありえない。しかし、組み合わせがすべてではない。
リーダーシップによりチームビルディングの深度はずいぶん変わってくるし、また、チームとして小さな成功を重ねていくうちにチームとしてのパフォーマンスが向上していくような面もある。さまざまである。

組み合わせの問題については、ここでは議論しない。興味のある人は、コンビネーションマネジメントといわれる分野の勉強をしてみてほしい。例えば、今回の「PMコンピテンシーを高める1冊の本」に取り上げているような本を読んでみてほしい。この本はFFS(Five Factors & Stress)と呼ばれるストレス理論に基づいてチームの最適編成を議論している。もちろん、FFS理論そのものは奥深い議論であるが、要点を頭の中で整理してみれば、似たようなチーム編成を直感的にすることはそんなに難しくないそうだ(開発関係者から聴いた話)。

さて、ここで問題にしたいのは、本来の意味でのチームマネジメントであるプロセスの話だ。チームをチームとして機能させるための基本的な考え方は管理をしないことであり、自律的な状態を作ることである。このためには、規範が必要である。言い換えるとチームとは、規範を集団である。これに対して、ワーキンググループには、これらの規範がなく、それゆえに管理で動かしていく必要がある。

規範には、思考規範と行動規範がある。思考規範は、ものごとをどのように考えるべきかと言う規範であり、一般的には

 ・共通のビジョン
 ・共通の目的
 ・共通の価値観

の3つを挙げることができる。
ビジョンは、プロジェクトの背景に対して共通の理解をすることであり、なぜ、そのような目的(ゴール)が達成できたかを共有することである。例えば、ある製品を作るプロジェクトだとすると、その製品の市場やユーザにとっての価値、あるいは、経営的な重要性などについて同じ考えを持てることである。

共通の目的は、そのプロジェクトのゴールがどのようなものであるのかを共有したものである。目的については、これまで本連載でもさまざまな視点から議論してきたのでそちらを参考にしてほしい。例えば、

 第70回 pmstyle流プロジェクト思考

である。

さらに、共通の価値観はプロジェクトのさまざまな事象について共通の理解をすることである。ここもビジョンや目的を並んで重要である。例えば、みなさんのプロジェクトを振り返ってみて、ほしい。あるアクティビティが50%遅れているとしよう。これをどのように解釈するか?PMの見識のある方も、クリティカルパスといった考えは一度、捨て去って考えてみてほしい。これを大変だと解釈するか、そんな大きな問題ではない解釈するかは意外とばらつくものだ。ぜひ、試してみてほしい。時間以外にも、品質、コスト、スコープクリープ、顧客への対応方法などについて同様に試してみてほしい。

もし、ばらつきが少なければ、あなたのチームの価値観は共有されていると考えてよい。もし、ばらつきがあれば、これを共通化することが最初の課題になる。

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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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