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第82回(2005.07.11) 
新しいプロジェクトマネジメントを求めて(1)

メールマガジン「プロジェクトを成功させる仕事術〜プロジェクトをインスパイアする方法(8)」で触れたが、プロジェクトマネジメントの中で、ひたすら、標準プロセスを求める傾向がある。(※メールマガジンは終了しました)

プロセスを標準化するということは、処理を標準化することだと考えている人が多いが、実はそうではない。処理そのものも標準化するのだが、処理に対する入力と出力の関係を安定化するということである。これはPMBOK(R)のプロセスを考えてみてもらえばすぐに分かるだろう。PMBOK(R)はプロジェクトにおける広い意味での問題解決プロセス構成を標準化し、そのプロセスに対して、入力、出力、問題解決処理を標準化している(ただし、PMBOK(R)は枠を与えているだけであるので、ここで議論しているような意味での標準化はされていない)。

たとえばスコープコントロールを考えてみると、WBSが入力のひとつになるが、ここで常に問題になるのが、WBSの精度(詳細度)である。PMBOK(R)適用に際して、たとえば、「WBSはワークパッケージが300時間以内になるように書きなさい」とか決めると、これを実現するためには、相当、詳細な作業の検討が必要となる。
検討すればかけるのであればそれでもよいが、たとえば、まったく新しい商品開発をしようというときにはそもそも、スコープそのものがプロジェクトの進行とともに明確になってくるケースが多く、計画段階で詳細な作業定義など、しようがないのだ。

さて、このような状況は何が問題なのだろうか?ある人はプロジェクトスコープが定義されていないのに、プロジェクトを進めること事態の問題を指摘するだろう。また、ある人は、PMBOK(R)の適用対象を間違っているという指摘をするかもしれない。

そのような意見のひとつとして、そもそも、インプットを標準的にすることの問題を指摘しているのが冒頭の議論である。インプットとアウトプットの関係を標準化し、アウトプットを安定させる(期待する成果物を得る)というのは、そもそも、オートメーションの議論である。あるプロダクトラインでそれが可能になったら、次は効率を求めるようになり、如何に再現性を高めることができるかという議論になる。それはライン業務として行う方向性に行く。

これが間違っているとは思わない。たとえば、プロジェクトを行うにあたり、リスクの洗い出しと事前対処を徹底的に行うことにより、開発効率を高めることに成功している組織が増えてきている。リスク処理を徹底するという発想は、インプットの標準化を行うという発想である。安定した処理プロセスをつくり、その処理プロセスに対して、入力を安定化させることにより、出力を安定化するという発想である。

ただ、できないケースがあるのだ。上にあげた新商品開発の例のように、どうしてもインプットからリスク(不確定・不確実性)が取り除けないようなプロジェクトも少なくない。このような場合にどうするのか?そんなに難しく考えられるような問題ではない。

不安定なインプットに対して、安定なアウトプットを求めるには、処理の部分の適応能力を上げるしかない。もっと具体的にいえば、そのような問題解決能力をチームが持てるようにチーム育成をするしかない。

同時に、考えるべきことは、スコープとは何かということ。これについては次回。

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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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