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第194回(2008.09.09)
プロジェティスタのプロジェクトマネジメント(2)
〜枠を取っ払う |
◆「枠を取っ払う」
トム・ピーターズが「セクシープロジェクトで差をつけろ」の中でいの一番に言っているのは
「枠を取っ払う」
ことだ。
「セクシープロジェクトで差をつけろ」。
◆SIプロジェクトの枠のでき方
プロジェクトは上位組織や顧客が決めたことをやればいいと考えるプロジェクトマネジャーがもっとも多いSIプロジェクトを例にとって話をしてみよう。
枠を作るというのはどういうことか。たとえば、プロジェクト憲章に以下のように書く。
このプロジェクトの目的は、○○システムを納期どおりに開発することである
もちろん、間違いではない。「枠を作っている」だけだ。この会社には、類似システムの開発経験が豊富にある。開発方法論もあり、それを実現するために技術的なプラクティスもたくさんある。○○システムを作ることを目的だと言ってしまった瞬間に、この範囲でプロジェクトを実施しますという枠を作っているようなものだ。
◆枠を作らないプロジェクト定義
顧客にとって○○システムというのはプロジェクトや業務を構成する一要素に過ぎない。システムを調達することそのものが目的になるケースはまれだろう。何かほかに、目的がある。その目的を探り当て、その目的にフォーカスしてプロジェクトを組み立てると、目的設定の自由度が増す。その自由度の中で、面白いプロジェクトとしてプロジェクトを定義していく。
これがプロジェティスタとしてのプロジェクト定義だ。
ただし、これは闇雲にやればいいというものではない。ツールがほしいという人もいるだろう。面白いツールを紹介しよう。
◆価値デザインマトリクスを使ってやりたいことを明確にする!
日本プロジェクトマネジメント協会が提唱しているP2Mというプログラムマネジメントの標準がある。
新版 P2Mプロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック
P2Mの詳細は自分で勉強していただくことにして、P2Mの中核にプログラムミッションという概念がある。そのプログラムは何を使命とするかを決めるものである。プログラムミッションを決めるために、「価値デザインマトリクス」というツールを使う。
このツールは
縦軸:評価項目
横軸:成果願望
としてマトリクスを作り、価値を定義しようというものだ。このツールはプロジェクトでも使える。プロジェクトでは
縦軸:要求されていること
横軸:やりたいこと(やればできること)
として価値マトリクスを作る。
プロジェティスタにとって、価値デザインマトリクスは必須のツールである。価値デザインマトリクスを使って、やりたいことの限界を見極める。つまり、やればできること、絶対にできないことというのを見極めていく。これによって、トム・ピータズのいうように枠を取り外していく。
そして、それに基づいてプロジェクトの目的を設定する。ここもP2Mと同じだ。
これが、プロジェクトをやりがいのあるものにするための第一歩である。
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士 株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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