第173回(2007.12.18)
人を好きになろう!〜愛のないヒューマンスキルなどあり得ない

◆近藤哲夫さんの人間愛

先日、PMAJ(日本プロジェクトマネジメント協会)のITベンチマーキングSIG「プロジェクトマネジャーの成功条件」の活動で、有限会社ウィンアンドウィンの近藤哲生さんのお話を聞く機会があった。近藤さんは

実用企業小説 プロジェクト・マネジメント


という本で、なかなか、理論的な本では言いにくいさまざまな考えを発表されている方で、僕も注目しているプロジェクトマネジメントコンサルタントの一人である。近藤さんの本を読んでみると、できそうでなかなかできないことが結構書いてある。たとえば、できる人を重用するというのは口でいうのは簡単だが、いざ、やろうとするとさまざまな壁にぶつかる。どうやって評価するのか、評価されなかった人はどうや
って動機付けするのか、などなど。

実際にお話を聞いてみると、この本に書かれているようなことをご自身実践されているとのころ。どうすればできるようになるのでしょう?とおたずねした。近藤さんの考えはある意味で単純だった。

「人間愛」

だと断言されたのが印象的だった。


◆愛のないヒューマンスキルなどあり得ない

実は、このSIGもヒューマンスキルに注目しているのだが、最近、プロジェクトマネジャーのヒューマンスキルに注目する人が増えてきた。それはそれでいいことなのだが、どうも釈然としないものがある。それが、近藤さんの言葉でいえば、人間愛があるかどうかだ。僕たちは人が好きかどうかという言い方をしている。

たとえば、メンバーに動いてほしいとしよう。動機付けの方法とか、チームの雰囲気を作るとかいろいろなことをする。しかし、「愛」のない人がいくらやってもあまりよい結果を生まないように思う。

この違いが出てくるところは、「相手を味方だと思えるか」どうかだ。メンバーに動いてほしい。このときに、自分の味方になって動いてくれるだろうと思えるかどうかだ。この点について懐疑的な人は、どうしてもスキルに頼って動かそうとする。

こういう言い方をすると、現実的ではないとか、裏切られるに決まっているという人が結構多い。そう思うこと自体が味方だと考えられない証しだといえよう。


◆ステークホルダを味方になると考えられるか?

これが顕著なのが、ステークホルダマネジメントである。上司や顧客を本当に動かしたいと思うのであれば、まず、すべきことは、味方になると信じることである。ハリネズミにようによろいを身にまとっている限り、交渉も説得もすべて不毛なもののような気がする。

リーダーシップに関心を持つ人であれば、ケン・ブランチャードの名前は聞いたことがあると思う。ワンミニッツ(1分間)シリーズが多くの人に支持されている組織とリーダーシップのコンサルタントである。そのブランチャードが中心になって書いた

新・リーダーシップ教本―信頼と真心のマネジメント


という本がある。この本は、専門経営者と教授と牧師の3人がじっくり考え抜き、議論し、煮詰めたキリストに学ぶリーダーシップ論である。

何人ものリーダーやマネジャーにこの本を紹介してきたが、どうしても宗教的なにおいに引いてしまうようだ。例外なく、これは宗教的だという。しかし、(他)人を愛したり、好きになったりすることは、宗教とは別の次元の話である。

プロジェクトマネジャーは人を動かさないと仕事にならない。そのためには、Win−Winのような論理的な価値交換が必要なことはいうまでもない。しかし、これは人を愛すること、あるいは、人を好きになるといった感情的な関係を基盤として初めて成り立つ関係である。ビジネスの世界の話なので、愛があれば、お金など関係ないなどというつもりはない。そうではなく、論理的な取引が効力を発揮するために愛が必要なのだ。

ビジネスに感情的な関係を持ち込むのはいやだという人も少なくないだろう。もし、論理的な関係だけで済むのであればそれもよい。しかし、済まないから、コミュニケーションであり、ヒューマンスキルが注目されているのだ。

この領域に足を踏み込むのであれば、人間を愛する、人を好きになるといったことを一度真剣に考えてみる必要がある。

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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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