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第166回(2007.10.30)
内面的な経験を重視しよう |
◆プロジェクトマネジャーには経験が必要
多くの人が「プロジェクトマネジャーには経験が必要だ」という。なぜだろうか?あるいは経験とはなんだろうか?経験を必要だという多くの人が思うことが、計画を作るにしろ、プロジェクトをコントロールするにしろ、実際にやってみないことには分からないというニュアンスで経験が必要だといっていることが多い。たぶんにスキルの実践化のために経験が必要だといっている。
マネジメントでやっていくには、スキルの実践化のための経験が重要である。今回の戦略ノートで問題にしたいのは、では、リーダーシップの開発のためには何が必要かということだ。
◆リーダーシップの典型的な開発方法
リーダーシップの典型的な開発方法は、リーダーがもっている要素を分解していき、それぞれの要素に対して適切な開発プログラムを準備して開発を行い、経験により統合して、発達させていくという考え方である。PMBOKにも通じる、いかにも米国的な手法である。
要素に分解していくツールとして最もポピュラーなのはコンピテンシーである。PMstyleで弊社がリーダーシップ開発向けのプログラムを提供しているのも、このような考え方でプロジェクトリーダーのコンピテンシーを開発しようとしているものである。また、統合の部分で最もポピュラーなツールはメンタリングである。
つまるところ、オフジョブのリーダーシップトレーニングと、オンジョブのメンタリングでリーダーシップ開発を行うというのが最も一般的なやり方である。これからも
、
このやり方は主流であり続けると思う。
また、オンジョブのメンタリングをバーチャルな世界でシミュレータを使って行うという方法も登場していきた。実際に、オンジョブでメンタリングで統合していくやり方よりは、バーチャルとはいえ、さまざまな経験ができるシミュレータを支持する向きもある。
◆リーダーシップをスキルとして捉える風潮
さて、このようなやり方に取り組んできて、非常にもどかしい部分がある。それは、メンタリングの問題でもあるのだが、どうも、リーダーシップをスキル的に捉える風潮が強いということだ。特に、IT系はその傾向が強い。ITにおいてはITスキル標準の中の1スキル分野としてリーダーシップが入っているので、まあ、業界としてそういう認識なのかもしれない。つまり、リーダーシップ、あるいはリーダー行動というものを、ハウツー、あるいはノウハウ的に捉え、そのハウツーやノウハウを習得することによってリーダーシップを開発しようとする。
確かに、コンピテンシーに要素分解したとすれば、そのコンピテンシーを伴う行動というはハウツーを知ることによってある程度可能になる。我々のスキームでいえば、この後に習慣化によってコンピテンシー化するのだが、ここを頭の中だけで済ませようとする。
◆ヒューマンスキルフルな統制行動では人は動かない
これでは「形を変えた」、ヒューマンスキルフルな統制行動に過ぎない。そんな行動で本当にみんなを動かすことはできないと思う。例えば、顧客とのコミュニケーションがうまく行っていない、メンバーがうまく行動してくれない、ステークホルダが協力してくれないなどのほとんどの場合には、この表面的なやり方が原因で起こってい
る。
真剣に伝えたいと思わない限り伝わらない、本当に動いて欲しいと思わない限り動かないといった非常に単純な話である。
◆リーダーシップの旅にでて、本当のリーダーシップを開発する
そう考えると、今のリーダーシップ開発にはある種の限界を感じるのだが、ここで最近、注目の概念が「リーダーシップの旅」である。これはすごいことをした人がリーダーになっていくと考え、その過程を旅に例えた考え方である。
スキルの実践化が経験であるとすれば、こちらは内面的な経験だといえる。
詳細はブログに譲るが、本当のリーダーシップを身に付けたいと思うのであれば、リーダーシップの旅にでよう!
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7.要求の本質を見抜いたスコープ定義
8.本質的な目標を優先する計画
9.プロジェクトマネジメント計画を活用した柔軟なプロジェクト運営
10.本質的な問題解決
11.経験を活かしてプロジェクトを成功させる
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士 株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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