第164回(2007.10.16)
リーダーシップとマネジメントの手段
◆マネジメントの手段

では、次にこれらの手段について少し、詳細に考えてみたい。まず、マネジメントの手段である計画とコントロールである。

マネジメントの手段が計画とコントロールだと述べたが、マネジメントが真っ先にすることは「計画立案」と「予算策定」である。これが常道である。計画立案の次には、組織化や人材配置によってその計画を抜かりなく達成することを目指す。

ここで誤解してはならないのは、ここでいうマネジメントというのはプロジェクトマネジメントをさしているわけではない。組織としてのマネジメントの活動である。組織マネジメントは組織化や人材配置として

 ・計画達成のための組織構造の構築
 ・ポストの設定
 ・適材適所の人材の充当
 ・関連スタッフへの計画の伝達
 ・計画実行権限の権限委譲
 ・実行状況を把握する仕組み作り

などを行う。


◆マネジメントとプロジェクトマネジメント

これによってプロジェクトが出来上がる。そして、組織で立案された計画を達成するための活動のマネジメントに関する権限をプロジェクト憲章を作ってプロジェクトマネジャーに委譲する。プロジェクトマネジメントプロセスで言えば、これが立ち上げプロセスに相当する。

プロジェクトマネジメントでは、立案された計画(主にスコープとマイルストーン)と策定された予算を制約条件にして、プロジェクト計画を策定し、プロジェクトを進めていくのだ。これがプロジェクトマネジメントである。


◆リーダーシップのやり方

これに対してリーダーシップでは、将来ビジョンとそのビジョンを実現するための戦略を準備する。そのあとも、プロジェクト計画のように細かな計画を作ることはあまりしない。その代わりに、人心をまとめる。ビジョンを理解し、その実現に向けて協力してくれる人に方向性を伝えていく。

その意味で、プロジェクトができる経緯も自然発生的なケースが多い。組織の中での話しであるので自然発生というわけにはいかないことも多いが、その場合、トップマネジメントがプロジェクトが自然発生するような場つくりにコミットし、その場の中でプロジェクトが進められていることが多い。

こちらはイメージが分かりにくいかもしれないので、ひとつ例を挙げておこう。SI企業の例である。

この企業では、今のままの請負仕事では将来ビジョンがないと判断し、事業部の経営会議で高付加価値サービスを中心にした事業のビジョンと戦略をつくり、その中核になるサービス開発をしようとしていた。このときに、事業部長は、マネジャーから技術担当者まで、自由に意見をいえるようなワークショップを3ヶ月間、月に2回開催した。その中で、自然にプロジェクトチームができて行き、中核になるチームができた。そこには、企画もいればデザイナーもいた。エンジニアも含まれていた。その中で、あるエンジニアがリーダーに選ばれた。この段階で、組織化と人材配置に代わる人心の統合ができたのだ。


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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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