第131回(2007.01.23) 
レスポンシビリティとアカウンタビリティ

前回は責任には、レスポンシビリティとアカウンタビリティがあり、その前提条件としてコミットメントのプロセスがあるという話までした。

第130回 コミットメントのプロセスはあるか?

今回は本題である、レスポンシビリティとアカウンタビリティの議論をしたい。


◆レスポンシビリティのためのコミットメントの方法

レスポンシビリティは前回触れたように、コミットメント(契約)を前提にした個人の責任であり、プロジェクトメンバーでいえば、作業遂行責任ということになる。まさに、RAM(Responsibility Assignment Matrix)をイメージしていただければよいと思う。

前回述べたように、責任が発生するのは、コミットメントが成立した後である。

プロジェクトマネジメントの中では、一般的には、計画の中でWBSによって成果物(目標)を明確にし、その目標達成に必要なアクティビティに対する責任の明確化のためにRAMを作る。さらに、それぞれのアクティビティに対して、所要時間や共同作業者、作業順序に対する制約などをセットで決める。これらが、マネジャーから指示された作業方法ということになる。

作業者のレベルによって異なるレベルの指示が必要であるが、これについては、WBSの詳細度、アクティビティ定義の精度などでカバーしていくことになる。

つまり、プロジェクトマネジメントのプロセスをきっちりとやれば、前回述べたコミットメントのプロセスをきちんとカバーしていることになる。これが、前回の記事の答えだ。


◆レスポンシビリティを果たす

逆にいえば、WBSやアクティビティ定義、RAMといったドキュメントがない場合にはコミットメントのプロセスがきちんと実行されていないことになり、メンバーに責任(レスポンシビリティ)が発生しているとは考えられない。堅苦しく感じるかもしれないが、この部分はプロジェクトマネジメントの基本中の基本であるので、よく考える必要がある。

さて、コミットメントがある前提の中で、レスポンシビリティとは

コミットメントされた作業の中で、発生した障害の報告、経過の報告、目標の達成度の報告を行い、さらに、目標達成に有効な対策を立案したり、あるいは、目標の修正を行うこと

と定義できる。作業責任という場合、ここまでの範囲が含まれる。これから分かるように、リスクマネジメントでいう「是正」はレスポンシビリティの範囲で行われることになる。

ただし、レスポンシビリティを果たすことは単にメンバー(担当者)だけの責任ではない。プロジェクトとしてのレスポンシビリティを果たすため、プロジェクトマネジャーやプロジェクトマネジャーに指示されたリーダーは作業の指導を行う責任がある。

あるいは、必要な場合には、作業方法の変更を指示する必要もある。これらができて初めて、レスポンシビリティを果たしたことになる。お気づきだと思うが、RAMでは、これらの責任についても明示的に決定することになる(ただし、PMBOK(R)の標準RAMでは少し弱いと思うが)。


◆アカウンタビリティを果たす

さて、ではアカウンタビリティとは何か?前回述べたようにこれは外部に対する責任を意味している。この内外の関係はさまざまなものがある。作業者個人が共同作業をしているチームに対するアカウンタビリティもあれば、チームがプロジェクトに対するアカウンタビリティもある。もちろん、プロジェクトとして外部のステークホルダに対するアカウンタビリティもある。

いずれの場合も、プロジェクト作業の結果を報告し、次の作業へのコミットメントを新たにするのがアカウンタビリティである。アカウンタビリティのためには、以下の2つのポイントがある。

・目標との差異を数値で報告すること
・結果を分析した振り返りが含まれること

ここで振り返りとは、目標に対して差異の発生した原因を定量的、かつ、論理的に説明し、その差異を克服するための対策を立案することを言っている。


◆プロジェクトマネジメント
   =コミットメント+レスポンシビリティ+アカウンタビリティという構図

これで、お分かりいただけたと思うが、コミットメント、レスポンシビリティ、アカウンタビリティは普通にプロジェクトマネジメントを実施していれば実現できる。前回から述べてきたことをまとめると、プロジェクトに従事する人が責任を果たすとは

(1)作業遂行の約束
(2)責任を持って作業を遂行する
(3)振り返りを含む説明の責任を果たす

のサイクルをきちんとするということである。従って、結果が出ればプロジェクトマネジメントなどは不要であるということで済まされる議論ではない。

これらの責任は、今後、内部統制が厳しくなるとともに、だんだん、厳格な運用が行われるようになることが予想されるので、改めて認識を新たにしておきたい。

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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「イノベーション・イニシアチブ(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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