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第110回(2006.08.01)
プロジェクトマネジメントはどこに向かうのか(その4)〜スポンサーの仕事 |
◆前回の復習
前回は、本来、プロジェクトマネジメントはプロジェクトマネジャー一人で行うものではなく、何らかの形での分担が必要であると述べた。
プロジェクトマネジメントはどこに向かうのか(その3)〜プロジェクトマネジメントを分担する
◆スポンサーとは何か
その中で、特に、スポンサー
プロジェクトに対して、現金や物資等の資金的な資源を提供する人やグループ
の存在がキーワードになるという話をした。
スポンサーという言葉がカタカナ英語になって、特に、ビジネスの中では「顧客」のような使われ方をしているが、これは、若干、誤解がある。テレビ番組のスポンサーは番組の後援であることからも分かるように、スポンサーは本来、保証人や後援者を意味する。つまり、お金を出すことは重要な活動の一つだが、それは目的ではない。
スポンサーの目的はあくまでも後援である。このように定義すると、多くのプロジェクトでは、プロジェクトの上位組織のマネジャーがスポンサーになることが多い。
また、ここで、日本語のややこしい面がある。それは、後援という言葉が、お金を出すということと同義に使われていることが多いことだ。もちろん、資財を供給すると言う意味もあるが、供給した資財が有効に活用されるように支援をすることも後援のスコープであるし、場合によっては支援の方が比重が高い。
このように考えたときにプロジェクトスポンサーはどのような役割を果たすべきだろうか?PMBOK(R)のプロセスに準じてみていきたい。
◆立ち上げプロセスにおけるスポンサーの役割
まず、立ち上げプロセスである。プロジェクトマネジメント的には、このプロセスではプロジェクトの定義を明確にし、プロジェクトを任せるプロジェクトマネジャーを任命する。その中で、スポンサーは以下のような役割を果たさなくてはならない。
(1)プロジェクト憲章のプロセスの一環としてプロジェクトマネジャーとチームの任命
(2)戦略上の課題の解決
(3)プロジェクトマネジャーへのプロジェクト目標立案支援
(4)プロジェクト実施に影響を与えそうな環境要因や政治的要因をプロジェクトマネジャーに説明する
(5)プロジェクトの優先順位を決定する
(6)当該プロジェクトの優先順位と、そのような優先順位になっている理由をプロジェクトマネジャーに説明する
(7)プロジェクトの方針や手続きを確立する過程で、プロジェクトマネジャーを指導する
(8)顧客(ステークホルダ)への窓口になる
これをみれば分かるように、スポンサーはプロジェクトを立ち上げ、プロジェクトマネジャーを任命し、プロジェクトマネジャーに権限委譲をするために背景や環境、プロジェクトの重要性についてのブリーフィングをする。そして、プロジェクト計画が始まったら、プロジェクトマネジャーの指導を行うとともに、ステークホルダへの窓口の役割を果たす。
ここで、プロジェクトスポンサーはプロジェクトに対して、直接指揮命令をする立場にはないことに注意をしておく。あくまでも、プロジェクトマネジャーへの指導を介して、プロジェクトへの影響を与えることになる。
計画プロセス以降は次回。
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士 株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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