第5回(2004.11.30)
プロジェクト運営技術支援〜計画サポート(1)
 

前回までで、PMOの機能の全体像を解説した。

今回から、個別にその機能を説明していくが、現実のPMOの姿を考え、実務上、必要性の高いものから順を追って説明していきたい。

PMOと一口に言ってもその組織の中での位置づけは結構多様である。大手のSI企業などでは、全社対応のPMOと事業部門対応のPMOを併設し、それぞれで役割分担をしている企業が多い。このような場合には、全社のPMOが
(1)PM実行マネジメント
(2)PM基盤マネジメント
を中心に行い、事業部門のPMOは
(3)リソースインテグレーション
(4)プロジェクト運営技術の支援
(5)ビジネス・アライメント
という役割分担を取っている企業が多い。簡単にいえば、全社での標準化マネジメントと、事業部での現場対応である。当然、全社対応では現場から情報を汲み上げて、それを社内標準に反映していくことになる。
本題から外れるがついでに言っておくと、リソースマネジメントの機能の中で、人材育成、キャリアマネジメントの機能がグレイゾーンになっており、それゆえにその企業のプロジェクトマネジメント政策の

プロジェクト運営の技術支援には文字通り、プロジェクト運営をテクニカルな側面から支援することである。大きく分けると、プロジェクト運営全般の支援と、プロジェクトマネージャーの技術支援に分けることができる。ここで、誤解しないようにしたいのは、この機能はあくまでも支援機能であり、仮にリカバリー計画の中でPMOのプールからプロジェクトマネージャーを派遣してもガバナンスはプロジェクトにあるという点である。その意味で、計画作成についてもサポートであり、意思決定の主体になるべきではないし、意思の反映はプロジェクト監査による是正として行うべきである。

さて、プロジェクト運営の支援として必要なことは、まず、プロジェクトマネジメント作業の支援ということで
(1)計画のサポート
(2)プロジェクトリカバリーの支援
の2つを上げることができる。

(1)計画のサポート
計画のサポートではまず、どのようなサポートを行うかを明確にしてなくてはならない。プロジェクトマネジメント標準の中で、計画のプロセスとツールが確立されている場合にはその標準を適用していくサポートということになる。
計画には大きく分けると
 ・プロジェクトマネジメント
 ・プロジェクト作業
 ・定量値(見積もり)
 ・リスク
の4つの対象がある。計画サポートでは、それぞれの計画作業に対する支援と、レビューを行わなくてはならない。その際の方針を明確にし、可能であればプロジェクトサポート計画として取りまとめておきたい。
まず、プロジェクトマネジメントについては、ガイダンスとして準備されているマテリアル(マニュアル類)にどのようなものがあり、それを如何に適用するかを整理しなくてはならない。
次に、プロジェクト作業については、WBS、コスト、スケジュール、リソースなどの計画要素に対して、すべてのプロジェクトが同じ考え方(方針)でプロジェクト作業計画を作れるように指導していく必要がある。
見積もりに対しては、見積もり値を正確に精錬していく必要がある。
最後に、リスクについては、プロジェクトの方がより情報を持っている。この中で、PMOは例えば、

 リスク識別 → リスク評価(定量、定性) → リスク対応計画 
     →リスクコントロール

といったリスクマネジメントプロセスが適切に運用されているかどうかを確認しておく必要がある。

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