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第2回(2006.02.20)
プロジェクトマネジャーはスーパーマンか? |
◆プロジェクトマネジメント1人ではできない
メルマガの影響か、著者はどうも、スーパープロジェクトマネジャー論者だと思われている節がある。これは誤解である。プロジェクトマネジャーがプロフェッショナルでなくてはならないと思っているが、プロフェッショナルなプロジェクトマネジャーが一人でプロジェクトを何とかしてしまうような存在だとは思っていない。むしろ、逆だ。
プロフェッショナルなプロジェクトマネジャーというのは、うまく、組織を使えるプロジェクトマネジャーだと考えている。その背景にあるのは、小さなプロジェクトはともかく、大きなプロジェクトをうまくマネジメントしていくには組織の支援が不可欠であることがある。プロジェクトの立ち上げと、プロジェクトがトラブルに陥ったときの2つに関しては、物理的にプロジェクトマネジャーだけでマネジメントをまわしていくのは難しいし、プロジェクトの平時の活動を考えてみても、全てのステークホルダーとのコミュニケーションを一人のプロジェクトマネジャーだけで十分に行うことはかなり難しいだろう。
そこで、まず、出てくるのが、プロジェクトマネジメントチームである。プロジェクトマネジャーはマネジメントチームを結成し、チームマネジメントを行いながら、マネジメントスタッフ(マネジメントチームのメンバー)の力を借りて、プロジェクトを運営していかなくてはならない。
次に、PMOなどの支援組織をうまく使えなくてはならない。このためには、プロジェクトマネジメントの中で、どのような支援が必要かを明確にし、そのような支援を提供してくれる人を探し出し、その人に依頼をしなくてはならない。このとき、なにもかも、自分たちでやってしまおうとは考えないほうがよい。
◆一つの例
一つありがちな例を考えてみよう。
どんなプロジェクトにも共通する重要課題の一つはリソースの確保である。リソースが確保できなければプロジェクトは進まない。そこで、多くのプロジェクトマネジャーはこれをマネジメント上の重要課題だと考えている。
本当にそうだろうか?むしろ、リソースに関するプロジェクトマネジャーにとって優先順位の高い課題は、自分のプロジェクトで確保できた如何にリソース能力を引き上げるかであり、リソース確保そのものは優先順位は高くないと思う。
ただ、リソース確保に対して何もしなくてよいかというと、決してそんなことはない。最初に述べたように、リソースがいなくてはプロジェクトは進まない。リソースのパフォーマンスを引き上げようにもおのずと限界がある。
そこで、必要なことは、必要なリソースの要件を明確にして、資材業務を行っている部門に調達を依頼することである。調達そのものは組織に任せることによって、自分は本来のリソースマネジメントの重要なミッションであるチーム育成に集中し、プロジェクトの進行に集中する。これが望ましい姿である。
と書くと、組織がそんな風にはなっておらず、現実的なやり方ではないという意見が必ず出てくるだろう。
そこで、本来の話に戻る。
◆プロジェクトマネジメントプロセスより組織プロセスが重要
プロジェクトマネジメントの仕組みというのは、なにも、プロジェクトマネジメントのプロセスやツールだけではない。実は、より重要な仕組みはプロジェクトを支援する「組織プロセス」である。
詳しい解説は次回に回すが、一つだけこのような主張をしている根拠を挙げておこう。IT系の企業にプロジェクトマネジメントを導入した場合によくある失敗は、当初思っていたように機能しないことである(もちろん、効果ゼロというわけではない)。
その原因としてもちろん、プロジェクトマネジャーのスキルというのはあるが、どうもそれが主要原因ではない。ガバナンスをはじめとして、組織(マネジメント)プロセスとプロジェクトマネジメントプロセスの間に矛盾が出てきて、それがプロジェクトマネジメントを失敗させる原因になっていることが実に多い。逆に、最近、プロジェクトマネジメントに注目し始めた製造業企業をみていると、組織マネジメントに何が不足しているかという視点でプロジェクトマネジメントの導入をしているケースが多く、従って、導入したマネジメントが機能するようになるのに、そんなに時間がかからない。
次回はこの辺りから考えてみたい。
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