第9回(2003.03.13) 
プロジェクトの分析・評価(2)
 

 前回からの続き。

   営業、開発、運用にかかるコスト 800万円
   開発、運用の売り上げ     1000万円

であれば、コストベネフィットを考えるとこのプロジェクトは実行すべきプロジェクトであると評価できる。
 では、、システムのライフサイクルを5年として、年間200万円でASP形態でサービス提供するとしよう。この場合は、どのように評価すればよいか?

◆ペイバック
 ここでまず、問題になるのはペイバック(回収)である。厳密に言えば少し違うが、一応、このシステムでサービス提供するまでに800万円の投資をすることになる。そしてこの投資に対して、キャッシュインフローが年間200万円であるので、800万円の投資は4年間で回収できることになる。したがって、このシステムのライフサイクルが5年であれば、初期投資は回収できることになる。

 初期投資 800万円
 キャッシュインフロー 200万円/年
 回収期間 4年間

◆DCF(Discoounted Cash Flow)
 ところが、通常は利子が発生するので、その分だけは、価値から割り引いて考えなくてはつじつまがあわなくなる。つまり、回収期間が4年のプロジェクトであれば、4年間で受け取るキャッシュフローの合計は、現在、受け取るものより少なくなる。
 例えば、利子率が10%だとすると、現在の800万円は

  800万円×(1+0.1)**4=1171万円

の価値となる。一般的な計算式は

  FV=PV(1+r)**n
   FV:将来価値、PV:現在価値、r:利子率、n:期間

である。
 DCFでは、プロジェクトのキャッシュフローの将来価値を現在価値を比較する。プロジェクトの投資評価をするには、システムのライフサイクル期間を考慮した現在価値が問題になるが、現在価値は上の式を変形して

  PV=FV÷(1+r)**n

となるので、将来価値1000万円に対して、

  1000万円÷(1+0.1)**5=621万円

で、621万円の価値しかない。したがって、このプロジェクトへの投資は見合わせるべきだという結論になる。

◆NPV(Net Present Value)
 さて、情報システムの開発プロジェクトの場合でも、その期間が3年とか4年にわたる場合がある。また、上の例のようにアウトソーシング系のプロジェクトの場合は、ライフサイクル全体をひとつのプロジェクトを見る必要がある。当然、長期間のプロジェクトになる。このような場合、単に、プロジェクト全体としてキャッシュフローを考慮するだけでは不十分である。トータルのキャッシュフローは大丈夫でも、途中でキャッシュフローが停滞してしまう可能性があるからだ。
 このような場合はどうすればよいのか?

 続きは次回。

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