第6回(2005.12.19) 
プロジェクトマネジメントプロセスの標準化は必要か?(後)
 
(本記事は、翔泳社PM Magazine No.4への寄稿記事を、メルマガ用に再編集したものです。前後半の2回に分けてお届けします。)


◆最初に

アンケート結果は第4回にあります。この中に図もありますので、本サイトを参照しながらお読みください。


◆プロセスのある意味

問7の標準化の効果の結果が図4である。否定的な答えは10%程度にとどまった一方で、プロジェクトマネジメントがうまく行ったという答えも25%程度だった。この結果を見る限り、プロジェクトマネージャーの裾野の拡大も含めて、じわじわと効果があるのが標準化だということになろう。

この中で、初心者の効果としては、いろいろな視点からの意見があったが、「初歩的ミスの防止」(アリスの国さん)、「早期プロジェクト着手」(中島亮さん)と同時に、「進め方に対する安心感と自信」(発展途上人さん)が大きな効果ではないかと思われる。

また、ノウハウの蓄積としては、「業務の品質を一定以上に保つ」(よしさんほか多数)が圧倒的に多かった。また、のように「プロジェクトマネジメントの品質を保てること」(テッドさんほか多数)と考えている人も多かった。プロジェクトの品質か、プロジェクトマネジメントの品質かというのは面白い点であり、これについては、また、メルマガで議論してみたい。また、考え方やコミュニケーションのベースになるという点もある。「社内で共有された価値観になり、コミュニケーションの円滑化の手段」(田中敏昭さん)などである。標準化のメリットはさまざまだと思うが、現実問題としていえば、これが最も大きいというのが著者の考えでもある。

ネガティブな側面としては、創造性とか、工夫への悪影響を挙げている人が多かったが、これはあまり本質的な問題だとは思えない。どちらかといえば、山ちゃんに「使う側の抵抗」である(導入して3年以上経つが未だにある)」という指摘の現われではないかと思う。その意味で、本質的な問題として、庄司和彦さんの

"組織" が "決められた標準プロセスを持っている" ということと "人" が "プロセスを実行し/進化させるスキルを持っている" ということは別物である。しかし、前者ばかりがクローズアップされる傾向があり(少なくとも私の組織においては)、標準を"決める"ことに一生懸命になってしまい、決められてはいても実行できないし、一旦決めた後は進化しなくなってしまっている。

という指摘が重要だと思える。これは著者がコンサルティングの中でよく経験することであるが、標準を導入して何年かたつと、普及していく反面で考えなくなる。大ちゃんが指摘されているように「決められた標準プロセスを「理解せずにただこなすだけ」と言う状態となり、本質である個々の人的スキルの向上が遅れる」が起こるばかりではなく、なぜ、そのマネジメント行動をやっているかを自分の言葉で説明できない人を大量発生させている組織がある。

このような問題を回避していくためには、プロジェクトマネジメントへのアカウンタビリティの向上を掲げながら、標準化、改善への取り組みが必要で、そのためにも、テーラリングがキーになるだろう。
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