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第3回(2005.10.17)
コストマネジメントの実態(前) |
(※本記事は翔泳社 PM Magazineの連載記事をメルマガ向けに編集したものです)
◆プロジェクトの収益を上げるために重要なこと
最後に、この質問をした。今回の質問は、選択肢にできるのではないかと思われるくらい、明確な傾向が出てきた。答えのパターンとしては
1)前提条件を明確にしたプロジェクト承認(受注の場合、営業、契約)
2)スコープの定義
3)リスクの認識
4)スコープとリスクのコントロール
5)プロセスの改善
をしっかりとやるという5つの分かれた。
1)の意見がもっとも多かった意見であるが、具体的には、likemngさんの「段階的な見積もりと契約の履行」など、見積もりの技術そのものよりプロセスを問題とし、2)のスコープ定義と絡めて行くべきという意見が多かった。thwさんのように「スコープがはっきりしていないところは受注しないこと」という意見もあった。
一方で、いくら頑張ってもそもそも、QCDに対する自由度は少ないため、「最初の契約の段階から、技術者込みでのプロジェクトビルドをしていれば、ある程度はリカバーできると思うのですが」という木村良一さんに代表される体制の問題を指摘する意見もちらほらと見られた。
3)のリスクについては、リスクに言及する意見は非常に多かったが、具体的にどうするという意見は匿名希望さんの「金額見積り時、充分な安全率を考慮し、交渉時は納得のいく見積根拠で武装する」に代表される安全率を考えるという意見がほとんどであった。また、リスクを認識した上で、匿名希望さんの「プロジェクト実施中のスコープ・リスク・工数の管理」をきちんとしなくてはだめという指摘もあった。
さらには、上に述べたようにそんなに安全率は取れないという現実があるため、平ちゃんの「質(品質、人、コミュニケーション)の向上を継続的にマネジメントがめざすこと」というプロセス改善の必要性を指摘する意見もあった。さらには、同じ意味で、もう少しメンバーに目をむけ、「何と言ってもモチベーションです。これが高いと、収益を上げる事も含めて全てのマネージメントにおいて予想以上の成果が出ています」という意見も興味深い意見である。
そのような中で、本質的な話として、PMPビギナーさんの「会社には売上額よりも利益額重視で考えて欲しい面もあります。価格競争に巻き込まれないだけの何かが会社にあれば一番良いと思いますが」、rai3desuさんの「プロジェクトの収益だけを考えないことだと思います。「損して得とれ」じゃないですが、プロジェクトより大きなもの(プログラム?)で考えるのは重要です。」といった指摘は気になる指摘である。これらはいずれもプロジェクトの問題よりも戦略を問うものであり、結局、現在のビジネス環境の中では戦略レベルの対応が必要になってきているのだろう。
とは言っても、現場でもできることもたくさんある。1)〜5)の多くの指摘がそうであるが、中でも、鋭い指摘と思ったのが岡本直樹さんの
「社内、外注を含めた作業者のES向上による組織的な作業の効率化と顧客満足度(CS)向上による信頼確保による還元のバランス、両立が重要と思います」
という指摘だ。ESとは「Employee Satisfaction」のことだ。やっぱり、このバランスこそが、利益率をスパイラル的に引き上げていくのだろう。これを今回のエディターズチョイスとしたい。
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