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第1回(2003.11.30)
MECEで,計画や管理をダブリなくモレなく |
MECEというのは,「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略.普通,
「ミッシー」と読む.難しくいえば,「ある事柄を重なりなく,しかも漏れもない部分の集合体として捉えること」ということになる.簡単にいえば,個々に見てダブりがなく,全体としてモレがないようにすることである.
MECEはビジネス上の課題を考える際,限りある経営資源をより有効に効率的に活用するために頻繁に用いられる考え方のフレームワークとしてマッキンゼーが発案したフレームワークである.
プロジェクトマネジメントでも,MECEは有用である.プロジェクトマネジメントでは,コスト,品質,時間をすべて満足しなくてはならない.そのためには,まず,何事においてもダブリは無駄につながり,禁物である.また,モレは手戻りを発生させる.したがって,モレも禁物である.
一つ例を挙げてみよう.プロジェクトでPMが管理しなくてはならない情報をMECEで考えてみるとよい.
| 定期−−−−−毎日−−−作業報告
| | |−作業予定
| | |−・・・
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| |−−毎週−−−進捗情報
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| |−−毎月−−−予算実績
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| 不定期−−−−計画変更情報
|−−トラブル情報
|−−顧客指示情報
|・・・
もう一つの例としてリスクの洗い出しを考えてみよう.リスクの洗い出しをするのにミッシーを使うとモレやダブリがないリスク事象の洗い出しをできる.例えば,
リスク種類−−−−コスト
|−−技術
|−−品質
というのはリスクに関するフレームワークになるだろう.同じように
リスクタイミング−−−−企画
|−−計画
|−−実施
というようなフレームワークも考えられよう.
ここまで説明するともう多くの方はお気づきだと思うが,実は,WBS(Work Breakdown Structure)もMECEになっている.WBSは成果物というMECEな切り口を設定することによって,作業(ワークパッケージ)をモレなく,ダブリなく洗い出せるようにしている.
成果物がMECEでなかったらどうするか.地面を水道管を埋めて,次にガス管を埋めるためにまた掘り返して,次に電線を地中化するためにまた掘り返して埋める.というパターンである.これはそもそもプロジェクトの構想が間違っているとして言いようがない.
このようにMECEは計画を作る上ではとても便利なツールである.例えば,リスクを洗い出すのにKJ法を使うこともある.KJ法は川喜多二郎氏考案の日本発の代表的思考法の一つである.KJ法とMECEの違いはボトムアップかトップダウンかという点である.プロジェクト計画はPMが作る場合が多いことを考えるとMECEの方が有用ではないかと思う.
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MECEについて詳しく知りたい人にお奨めの本:
照屋華子・岡田恵子「ロジカル・シンキング,論理的な思考と構成のスキル」,東洋経済新報社(2001) |
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読者からの意見 |
Collectly Exhaustive……は、Collectively ではないでしょうか。
面白く記事を読んでおります。今後ともよろしく。 |
清水研(44歳) |
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ご指摘ありがとうございました。修正しました。 |
好川哲人 |
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