第12回(2004.12.01) 
習慣化(2)〜習慣化の方法論

◆習慣化のプロセス

習慣化をするにはどうすればよいのだろうか?はっきりしているのは、多くの人、いままでの経験によると、おそらく、90%以上の人は「心がける」といった精神論ではまず、うまくいかない。何らかの強制的な仕掛けが必要である。

嫌がる人が多いが、大切なことはやはり記録していき、PDCAのサイクルをまわしていくことだ。大きな流れとしては、

 [1]身につけたい習慣を明確にする
   → [2]その習慣づけに必要な課題の設定
     → [3]課題を実現する行動をする
       → [4]レビューと分析
         → [5]新しい課題の設定

という流れが必要になる。

具体的には、前回掲げた7つの習慣のひとつひとつを取り上げ、次回から例示をしてみたいと思っているが、先立ってひとつだけ例を上げよう(説明ではツールを使わないが、実際にはツールを準備してある)。


◆Aさんの1シーン
Aさんは、「自分の行動を客観的に見る」という習慣づけをしたいとしよう。これが[1]の習慣の明確化である。もちろん、この習慣づけのための課題はさまざまであろうし、また、その人の現状によっても異なってくる。Aさんは

 ・意思決定をするときに、常に立場の異なる人の意思決定と比較する

という課題を設定した。

[2]の課題の設定である。

さて、ここで、最大のポイントになるのは、行動の部分である。行動のところで重要なことは、自分自身が「期待する成果」を明確にイメージすることである。つまり、どのような行動をすれば課題をクリアできたことになるのかということだ。

ここでAさんはいくつかの具体的な行動を考えた。シチュエーションはスケジュール決定に絞った。

 [a]スケジュール決定をする際に、ほかの意見を必ず聞く
 [b]スケジュール決定をする際に、反対しそうな人を思い浮かべて、その人がなんというかをシミュレーションしてみる
 [c]スケジュール決定をする際に、自分の結論を、もう一人の自分として評価をしてみる

などである。この中で、[c]を選ぶことにした。[c]を実行するというのは、この行動により、課題に対する解決策であるという仮説が含まれている点に注意しておきたい。

つまり、実際にやってみて、どのような効果があるか、期待に対してどのような結果が得れるかはこの段階では必ずしも確信できているわけではない。実際にやってみて効果があった場合のみ、この行動が有効であることが分かる。その際の評価は自己評価だけではなく、相手のある課題の場合、相手の反応を見るということも必要になる。

これによって、決定した行動(パターン)が有効なものであれば、仮説は成立したことになるので、この行動をスケジュール決定以外のさまざまな決定の場面で繰り返していく。もちろん、その中で、有効ではない場面があるかもしれないので、その場合には仮説の修正をする。

この繰り返しが習慣を生み出すのだ。

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