PMサプリ51:実行と計画は一体

【PMサプリ51:実行と計画は一体】

実行を計画し、計画を実行する


【効用】
・PM体質改善
  PM体質の全般に対して効果があります
・PM力向上
  PM力向上の全般に対して効果があります
・トラブル緩和
  モチベーション向上、チームの士気向上

【成分】

◆メンタルマネジメント

今回のサプリは、ラニー・バッシャム氏の言葉である。ラニー・バッシャム氏は、ライフル射撃の名手で、1974年に打ち立てた記録が10年間破られなかったくらい、突出した存在だった。ところが、なかなか、オリンピックで勝つことができず、勝利を得る秘訣として悟ったのがメンタルマネジメントだった。今では、そんなに特別なことではないが、時代を考えると、これもまた、卓越した見識であることは想像に難
くない。

そのラニー・バッシャム氏は引退後は射撃学校を開いて後続の育成に当たっているが、メンタルマネジメントを教えることにより、幾人も強い選手を育てている。彼のメンタルマネジメント論の中で中核になっている目標設定の10か条の一つが今回のサプリで紹介したフレーズである。彼は「メンタル・マネージメント」という本を出版し、講演活動もしているので、あとの9つが気になる人は、ぜひ、この本を読んでみてほしい。

ラニー・バッシャム(藤井優訳)「メンタル・マネージメント―勝つことの秘訣」、星雲社(1997)


10か条が精神論のごとく書いてあるわけではなく、トレーニング方法について、ラニー・バッシャム氏のオリジナリティの高い方法が紹介されているので、読む価値のある一冊だ。


◆プロジェクトのスタートに相応しい言葉

さて、お気づきの方も多いと思うが、PMサプリもいつのまにか、50回を数えた。サプリ1が10月27日であるので、ちょうど1年が経過している。今回が51回目だが、気持ちを新たにして再出発ということで、意味で今回はこの言葉を選んだ。実際にプロジェクトを始める際にこのくらい適した言葉はないと思う。

この言葉を聞いて当たり前だと思った人の中で、一体どれだけの人がそれを実行をしているだろうか?聞けば当たり前だと思うし、改めて言われたくないと思うかもしれないが、実際にやるとなると、行動の前に立ち止まって計画をするというのは、結構、面倒だし、難しいものである。

例えば、プロジェクトにおいて計画変更をせざるを得なくなったときを考えてみてほしい。多くの人は計画しなおす前に行動を始める。そして、「プライオリティ」という魔法の杖を取り出してきて、今は、計画を作っているよりは、目の前の問題に対応する方が先決だという。PMBOKには、「是正」という便利な言葉もある。


◆計画書よりは、計画プロセスが重要

大げさかもしれないが、プロジェクトにはプロジェクトメンバー全員の運命がかかっている。最近の目標管理の評価制度であれば、本当にメンバーの報酬がかかっているのだ。それを無計画にやられては、メンバーはたまったものではない。走り出してから考える流儀の人、結果オーライだという人も多いだろう。本当にそれでよいのだろうか?

数年前にあるSI企業で受注額の150%の赤字を出したプロジェクトの反省会に参加したことがある。出てきた結論は、スコープの認識のずれが明確になったときの初
動の対策だった。認識がずれたが分かったところで、急場シノギの仕様変更を行った。

納期のために工数の増えた分を外注した。ここから迷走が始まり、なんと、最終的には150%の赤字になり、プロジェクトは中断された。

プロジェクト計画をたてるということは、プロジェクトで発生するかもしれないリスクを事前に机上で知ることである。計画の本質はここにある。従って、計画を立てるプロセスで大事なことは、計画書という結果そのものより、立案プロセスでいろいろなことを考え、気づくことである。このプロセスこそプロジェクトの成功にとって何よりも重要である。さまざまな理由でこの思考プロセスがないことがプロジェクトの失敗につながっているケースが極めて多い。

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