■ちょっと立ち読み
『コミュニケーションをマネジメントする(3)〜プロジェクトにおけるコミュニケーションの仕組み』
◆仕組み その1:フォーム
コミュニケーションの仕組みの基本はフォーム(帳票)である。プロジェクトの内容にもよるが、ITやエンジニアリングなどのモノの生産を伴うプロジェクトでは、フォームは2種類に分けて考えておいた方がよい。一つは、品質管理(技術管理)用のフォームで、もう一つはマネジメント用のフォームである。
品質管理用フォームは、プロセスに依存して変わってくるが、プロジェクトマネジメントの立場から最低限必要な品質管理用フォームには
・品質管理票
・レビュー実施管理票(レビュー記録書)
・不適合処理書
の3点である。これはら、いずれにも、QCDだけではなく、スコープ、リスク、調達などのマネジメントに影響を与える情報の管理である。
マネジメント用フォームはステークホルダごとに設定していくのがよい。まず、顧客とのコミュニケーションのために最低限必要なものは
○プロジェクト実施計画書
・(契約書)
○スコープ変更依頼書
○変更依頼書
・作業記述書
である。プロジェクト内のコミュニケーションのためには
○スコープ記述書
・マスター計画書
○進捗報告書
○変更依頼書
○問題報告書
・問題管理票
・リスクコントロール票
は最低限必要である。また、プロジェクトと社内のステークホルダの間のコミュニケーションには、
○プロジェクト憲章
○スコープ記述書
が必要である。以上のフォームはプロジェクトマネジメントを適切に進めようとした際に、最低限必要なものである。なお、
○がついているものについては、比較的汎用性があるので、ホームページに掲載している。参考にして戴きたい。ただし、著者の経験上、ある組織でプロジェクトマネジメントの導入をする際に、フォームがそのまま使えた記憶がない。ここでは、そのことの是非について議論はしないが、それが現実であることには注意をしておいて戴きたい。
※ 立ち読み版では、ホームページは見ることができません。
以上のフォームはマネジメントプロセスに注目して、プロセスの節目節目、あるいはプロセスの異常の際にコミュニケーションツールとして機能するものである。あるいは、もっと積極的にマネジメントプロセスを組み立てるためのツールだと位置づけてもよいが、いずれにしても、そこに書くべきことにルールがあるわけではない。
フォームでうまくマネジメントを行うためには、フォームのそのものの設計も重要であるが、もっと重要なのは運用設計である。フォームの運用設計としてすべきことは
・フォームごとの利用目的の明確化
・フォームの欄の記載ルールの明確化
・フォームの記載サンプルの提示
の3つである。フォームの運用は成熟度の一つと考えて組織で決めているケースが多いが、フォーム自体はプロジェクトをまわすための道具だと割り切り、プロジェクトで使いやすいようにカスタマイズして使うことをおすすめする。
(2003/08/21号より抜粋)
■アクティビティ1:
■アクティビティ2:
■アクティビティ3:
□アクティビティ4:
■8月号(プロセス4) 目次
> 2003/08/7 アクティビティ1 コミュニケーションの種類とツール(手法)
◆コミュニケーションの対象
◆コミュニケーションの方法
◆ツールによるコミュニケーション
◆コミュニケーションツールとしての手法
◆コミュニケーションの目的
◆コミュニケーションのタイミング
◆コミュニケーションスコープ
◆コミュニケーション計画とは
> 2003/08/14 アクティビティ2 コミュニケーションの計画手順
◆コミュニケーションはプロジェクトの生命線
◆コミュニケーションの計画手順
◆コミュニケーションのルールの決定
◆マネジメントプロセスとしてのコミュニケーション
◆マネジメント基準の決定が重要
> 2003/08/21 アクティビティ3 プロジェクトにおけるコミュニケーションの仕組み
◆仕組み その1:フォーム
◆仕組み その2:手法
◆仕組み その3:コミュニケーション監査
> 2003/08/28 アクティビティ4 プロアクティブなコミュニケーションの土壌作り
◆コミュニケーションマネジメントが必要な状況
◆コミュニケーションの必要性を小さくする
◆3つのポイント
◆コンテクストを高くする
◆継続的な取り組みが肝要
◆プロセス4のまとめ
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