第3回(2006.04.21)
コミュニケーション・マネジメント計画書
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 
 

今回は、「PMBOKのツールと技法を極める」シリーズの3回目として、コミュニケーション・マネジメント計画書を取り上げることにします。

◆コミュニケーション・マネジメント計画書
コミュニケーション知識エリアの唯一の計画プロセスである「コミュニケーション計画」では、スコープの概要を記述しているプロジェクト・スコープ記述書とプロジェクトの制約条件・前提条件からコミュニケーション・マネジメント計画書を作成します。

コミュニケーション・マネジメント計画書には、次の項目を記載します。

・ステークホルダーがどんなコミュニケーションを要求しているか
・コミュニケーションの手段、書式、内容、目的、頻度
・コミュニケーションの責任者、発信者、受信者
・コミュニケーション・マネジメント計画書を変更する方法
・共通用語集

具体的には、前回のステークホルダー分析で分析を行った結果をコミュニケーション・マネジメント計画書に反映します。例えば、どのステークホルダーにどのタイミングでどんなコミュニケーションを行うのかということです。会議なのか、面談なのか、報告書なのか、メールなのか、また、週1回か月1回かそれは何曜日なのかということです。

そして、そのコミュニケーションは誰から誰へのコミュニケーションで、それが実行されたことを確認する責任者が誰で、もしコミュニケーションが不調に終わった場合のフォローをどのように行うのかということです。

また、コミュニケーション・マネジメント計画書を作成するために、組織内部の情報ニーズ(社内での定例報告など)や外部への情報ニーズ(顧客への報告など)とステークホルダー分析から導かれた情報ニーズからコミュニケーションのルールを作成します。

その他に、プロジェクトの成果物を作成するためのプロセスについてのプロダクト分析を行います。

例えば、ITであれば、全体設計、詳細設計、プログラム設計、プログラミング、単体テスト、システムテスト、納品というプロセスの順に行われ、それぞれのプロセスにおいて、どんなステークホルダーがかかわり、どんな情報を必要としているかということを分析します。

そして、そのプロセス、またはプロセス間に何か問題をはらんでいないかということを分析し、どんなコミュニケーションを行うことで、それを防ぐことができるかということを立案し、コミュニケーション・マネジメント計画書に反映します。

このように作成されたコミュニケーション・マネジメント計画書は、実行プロセスの「情報配布」、監視コントロールプロセスの「実績報告」・「ステークホルダー・マネジメント」のインプットとなります。そのためにも、それらのプロセスを計画にしたがって行えるようにコミュニケーション・マネジメント計画書を作成しておく必要があります。

どこまで詳細に作成するかは、プロジェクトの規模やプロジェクトを取り巻く環境、参加するメンバーにもよりますので、一概には言えませんが、このコミュニケーション・マネジメント計画書を組織として知見として残しておくことで、よりよいコミュニケーション・マネジメント計画書を作成することができるといえます。

次回は、人的資源知識エリアのプロジェクト・チームのマネジメントのツールと技法であるコンフリクト・マネジメントです。

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PMBOKは、米国PMIの商標(R)です。
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