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第1回(2006.03.30)
RAM
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 |
連載記事「これは使えるPMBOK3」でPMBOK3で改訂された内容を知識エリアごとに書いていましたが、今回から、ツールと技法について、よく取り上げられるものから書いていきます。
PMBOKでは、すべてのプロセスのインプット、ツールと技法、アウトプットを定義し、それを知識エリアごとに説明しています。
インプットとは、プロジェクトの内外を問わず、プロセスの処理にかかる時に必要な事項であり、先行プロセス(異なる知識エリアの場合もある)からのアウトプットの場合もあります。
アウトプットとは、プロセスによって生成されるプロダクト、所産、サービスであり、後続プロセスのインプットの場合もあります。
インプットとアウトプットについてはPMBOK3の用語集に説明がありますが、ツールと技法は説明がありません。
それでは、ツールと技法とは何なのでしょうか?
通常は、インプットからアウトプットを生成するときに使うものが、ツールと技法です、と私は、説明しています。
ちなみに、ツールとは、テンプレートやソフトウェア・プログラムなどであり、技法は定義済みの系統的な手順のことという説明が用語集には、あります。
第1回は要望の多かったRAMを取り上げたいと思います。
◆RAM(Responsibility Assignment Matrix)
RAMはプロジェクト人的資源マネジメントの計画プロセス群のプロセスである「人的資源計画」のツールと技法です。「人的資源計画」では、人的資源に関する方針を決めている要員マネジメント計画書とプロジェクト・チーム・メンバーとその報告関係を図示したプロジェクト組織図を生成します。
RAMとは、責任分担マトリックスのことで、プロジェクトの組織ブレークダウン・ストラクチャー(OBS:Organizational Breakdown
Structure)とワーク・ブレークダウン・ストラクチャー(WBS:Work Breakdown Structure)を関連づけた図表のことです。プロジェクトで必要のある作業を責任者に確実に割り当てるのに役立ちます。
RAMにはいろいろなレベルがあります。上位レベルのRAMでは、WBSの構成要素をプロジェクト内のどのチームが担当するかを決め、下位レベルのRAMでは、具体的なアクティビティに関する役割、責任、権限レベルなどを指定します。
例えば、役割を
実行責任(R:responsible)作業を担当する
説明責任(A:Accountable)作業全般の責任を持つ
協議対応(C:Consult) アドバイスを提供する
情報提供(I:Inform) 情報を共有する
としたものを特にRACIチャートと呼んでいます。
アクティビティ |
太郎 |
次郎 |
三郎 |
四郎 |
五郎 |
要件定義 |
A |
R |
I |
I |
I |
設計 |
I |
A |
R |
C |
C |
製作 |
I |
A |
R |
C |
C |
テスト |
A |
I |
I |
R |
I |
上記のRACIチャートは以下のように役割を示しています。
・要件定義は太郎と次郎が行いますが、太郎が責任者です。
・設計・製作は次郎と三郎が行いますが、次郎が責任者で、四郎と五郎がアドバイスを提供します。
・テストは太郎と四郎が行いますが、太郎が責任者です。
今回は「PMBOKのツールと技法を極める」の第1回としてRAMを取り上げました。次回からはこのシリーズで月に2回程度連載します。
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