第7回(2005.07.13) 
これは使えるぞ!PMBOK3(7):タイム
 

前回に引き続き、知識エリアの観点からの変更点について、特に変更されたプロセスについて記述します。

ここでは、
△:立ち上げプロセス群
○:計画プロセス群
◎:実行プロセス群
●:監視コントロール・プロセス群
▲:終結プロセス群
でプロセス群を表現しています。

■プロジェクト・タイム・マネジメント
タイム知識エリアには、計画プロセス群と監視・コントロールプロセス群のプロセスがあり、前回までに、以下のプロセスについて、記述しました。

○「アクティビティ定義」
○「アクティビティ順序設定」
○「アクティビティ資源見積り」
○「アクティビティ所要期間見積り」
○「スケジュール作成」
●「スケジュール・コントロール」

今回は、「スケジュール・コントロール」について、もう少し詳しく記述します。
「スケジュール・コントロール」では、以下のことを行います。
・プロジェクト・スケジュールの現在の状態の判断
・スケジュールの変更をもたらす要因への働きかけ(いわゆる是正処置)
・プロジェクト・スケジュールの変更の確定
・変更発生の際の実際の変更のマネジメント

●「スケジュール・コントロール」のインプット
PMBOK3では、「スケジュール作成」のアウトプットにプロジェクト・スケジュールとスケジュール・ベースラインがあり、「スケジュール・コントロール」のイン
プットは、スケジュール・ベースラインになっています。
それでは、2000はどうだったかと言いますと、「スケジュール作成」のアウトプットにベースラインは入っておらず、プロジェクト・スケジュールのみです。そして、スケジュール・ベースラインは承認されたプロジェクト・スケジュールという意味でほとんど同義の扱いでした。
PMBOK3ではここでもベースラインであるスケジュール・ベースラインが強調されています。
では、スケジュール・ベースラインとはどんなものなのでしょうか?

スケジュール・アクティビティ(2000では、単にアクティビティと呼び、ワークパッケージを作成するための作業のことです)の開始日と終了日を明記した承認されたプロジェクト・スケジュールと解説されています。
マイルストーン・スケジュールでもなく、サマリー・スケジュールでもなく、スケジュール・アクティビティごとに開始日と終了日を確定したスケジュールがスケジュール・ベースラインということのようです。

●「スケジュール・コントロール」のツールと技法
パフォーマンス測定(2000では、実績測定)に、スケジュール差異(SV)とスケジュール効率指数(SPI)が明記され、EVMが取り上げられています。(EVMの説明は、コスト知識エリアの「コスト・コントロール」で取り上げています)「スケジュール・コントロール」の重要な点はスケジュール差異に対して是正処置が必要かどうかを見極めることであり、スケジュール差異の大きさを評価するのにEVMは役立つと書いてあり、全般的にEVMの取り上げ方は2000に比べて、大きくなっているようです。

●「スケジュール・コントロール」のアウトプット
パフォーマンス測定結果(SVとSPI)、要求済み変更、組織のプロセス資産(更新版)が追加されています。
パフォーマンス測定結果(SVとSPI)はステークホルダーに伝えるために追加されています。
要求済み変更は統合変更管理でレビューされ、承認済み変更要求と却下済み変更要求として処理されます。
提案済み是正処置(2000では単に是正処置と呼ばれ、差異が予測されるプロジェクト・スケジュールを承認済みのスケジュール・ベースラインに引き戻すための活動)は、その時点以後に実行されるアクティビティにおいて、タイム・マネジメントの観点から実施されます。
また、組織のプロセス資産(更新版)の内容は、スケジュール差異の原因や是正処置の選択理由などを教訓として文書化されたものです。

今回はタイム知識エリアの「スケジュール・コントロール」プロセスについて記述しました。
次回はいよいよコスト知識エリアです。

先週、PMBOK3のセミナーを行いました。
全44プロセスのインプット、ツールと技法、アウトプットの説明を2日間で行いましたが、承認済み変更要求、要求済み変更、実施済み変更要求など言葉の特異性に戸惑う方が多いようでした。また、耳慣れない言葉の多さに圧倒されながらも、聞いてくださっていたようです。

◆お奨め図書
もちろん、PMBOK第3版の日本語版です
 Project Management Instytute
"A Guide To The Project Management Body Of Knowledge: Official Japanese Translation"(2005.2)
スポンサードリンク
読者からのコメント

■本稿に対するご意見,ご感想をお聞かせください.■

は必須入力です
コメント
自由にご記入ください

■氏名またはハンドル名
■会社名または職業
■年齢

  
このコンテンツは「プロジェクトマネージャー養成マガジン」としてメルマガで配信されています.メルマガの登録はこちらからできます.