第14回(2006.03.07) 
これは使えるぞ!PMBOK3(14):リスク(3)
 

◆各知識エリアで変更されたプロセス(12)

前回に引き続き、知識エリアの観点からの変更点について、特に変更されたプロセスについて記述します。

ここでは、
△:立ち上げプロセス群
○:計画プロセス群
◎:実行プロセス群
●:監視コントロール・プロセス群
▲:終結プロセス群
でプロセス群を表現しています。

■プロジェクト・リスク・マネジメント(3)
前回までに、プロジェクト計画に対して何らかの影響を与える事象がプロジェクト・リスクであり、プロジェクト・リスクが発生するとプロジェクトの実行が計画とずれてしまい、その差異を少なくするために、プロジェクト・リスク・マネジメントが必要であることを述べました。

PMBOKのリスク知識エリアには、計画プロセス群に「リスク・マネジメント計画」、「リスク識別」、「定性的リスク分析」、「定量的リスク分析」、「リスク対応計画」、実行プロセス群はなく、監視コントロール・プロセス群に「リスクの監視コントロール」があり、前回までは計画プロセス群のプロセスを取り上げました。今回はいよいよ監視コントロール・プロセス群の「リスクの監視コントロール」です。

インプット、ツールと技法、アウトプットについては、用語が多少変更になっていますが、PMBOK2000と大きな相違はありません。
リスク知識エリアの計画プロセス群のプロセスでは、プロジェクト・リスク・マネジメントの主要なアウトプットであるリスク登録簿には、次の情報が記載されています


・識別したリスク
・リスクを発生させる根本原因
・リスクの発生確率
・リスクが発生した場合のプロジェクトの影響
・対応すべきリスクの優先順位
・リスク担当者とその責任
・対応すべきリスクへの対応策(戦略・具体的な行動)
・リスク発生の兆候と警告サイン
・コンティンジェンシー計画とその実行のきっかけを与えるトリガ(引き金)
・計画した対応策を講じた後に残る残存リスク
・リスク対応策を実行した結果から直接発生する二次リスク

リスク対応策で、回避・軽減という戦略をとれば、プロジェクトの計画を変更するということです。

例えば、
スケジュール遅延というリスクに対して軽減という戦略をとり、要員を追加するというリスク対策をとり、要員計画の変更を行うということです。

その計画を変更することによって、リスク事象そのものの発生確率・プロジェクトへの影響は減りますが、新たな二次リスクや残存リスクが発生します。
また、プロジェクトが進むにつれて、新たなリスクの発生やリスクの変化があるために、リスクについて継続的に監視する必要があります。

監視コントロール・プロセス群の「リスクの監視コントロール」では、新たに生じたリスクの識別・分析・計画を行い、リスクの追跡、コンティンジェンシー計画に関するトリガの監視を行います。

ツールと技法に状況確認ミーティングというのがありますが、このミーティングで新たなリスクの発生やリスクの追跡、トリガの監視の結果を報告し確認しますが、通常は進捗報告ミーティングや定例ミーティング内で行うことが多いようです。

プロジェクト・リスク・マネジメントはリスクを識別し、対策を立てて終わり!ということが多いですが、それだけではなくてこのあとのリスクの監視を行うかどうかが重要になってきます。

次回は、最後の知識エリアの調達です。

◆お奨め図書
もちろん、PMBOK第3版の日本語版です
 Project Management Instytute
"A Guide To The Project Management Body Of Knowledge: Official Japanese Translation"(2005.2)
スポンサードリンク
読者からのコメント

■本稿に対するご意見,ご感想をお聞かせください.■

は必須入力です
コメント
自由にご記入ください

■氏名またはハンドル名
■会社名または職業
■年齢

  
このコンテンツは「プロジェクトマネージャー養成マガジン」としてメルマガで配信されています.メルマガの登録はこちらからできます.