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バカの壁を打ち破る4行日記

 今年、僕がもっとも印象に残った本の1冊が、養老孟司先生の「バカの壁」だ。読まれた方も多いのではなかろうか?

 養老孟司先生のいう「バカの壁」とは、

  自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまっている壁

のことだ。このように説明すると、分かりにくいが、「バカの壁」の冒頭にでてくる養老孟司先生の経験が分かりやすい。

 大学の薬学部で、夫婦の妊娠から出産までのドキュメンタリーを見せた。女子学生は「勉強になった、新しい発見があった」という反応をしたが、男子学生は「こんなものは保健の授業で習って知っている」という反応が多かったというのだ。男子学生は、出産に対して、実感を持ちたくない。だから、発見しようとしない。これが、バカの壁だという話である。

 この本を読んでいろいろなことが頭をよぎったが、一番、最初に思い浮かべたのがプロジェクトマネジメントだ。プロジェクトのメンバーであるエンジニアたちは、明らかに、プロジェクトマネジメントにバカの壁を持っている。だから、進捗報告一つとっても、御座なりの報告しかしない。

 次に思う浮かべたのが、お客さんとの間の「バカの壁」。ソフトウエアエンジニアがユーザの要件分析をやっているときには必ずといってよいくらい、「バカの壁」を作る。エンジニアリングというのは本質的にバカの壁を作ることを必要としているのかもしれない。彼らは、自分の経験に忠実であっても、ユーザの意見を実感を持って聞こうとしない。ユーザが何か要求すると、「それが必要なことはよく理解できる。別のシステムでも同じことをやりました」という。こういうシステムは大体、失敗する。

 うまく行かないプロジェクトをうまく進めるコツの一つは、メンバーにバカの壁を如何に打ち破らせるかではないかと思う。

 何かを変えたいと思ったときに、一番最初にしなくてはならないことは、解凍することである。御座なりの進捗報告しかできないメンバーがいる。このメンバーにいくら、ゴリゴリと「進捗報告って問題が起こる前に、対処するために必要なんだ。君もトラブルで、苦しい思いをして残業などしたくないだろう。ちゃんと、求めるものを報告してくれ」といっても、状況は変わらないだろう。「そんなことは分かっている」というに決まっている。バカの壁があるのだ。

 まず、バカの壁を壊さなくてはならない。

 と口で言うのは簡単だが、これは大変厄介な仕事である。比較的簡単な方法をお教えしよう。毎日、対象について

 今日、発見したこと(事実)
 それから気づいたこと(気づき)
 そこから得られた教訓(教訓)
 ありたい姿を表明する(宣言)

をメールに書いて出させる。お客さんとの間の壁であれば、お客さんについて、プロジェクトマネジメントのバカの壁であればプロジェクトマネージャーについて書く。

 これは、心理学の大家、小林惠智先生が発明された「4行日記」という手法だ。これを1ヶ月続ければ、バカの壁の解凍は間違いなくできる。論理性、課題発見力、課題解決力、行動計画力が身につくそうだ。

 4行日記 (PHP出版)


 なおかつ、この副次的効果として、プロジェクトリスクの早期発見につながる。ぜひ、試してみて欲しい。

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   4.本質的な目標を優先する計画
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   6.トラブルの本質を見極め、対応する
   7.経験を活かしてプロジェクトを成功させる
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記事一覧
著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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読者からのコメント
バカの壁を打ち破れましたか?
打ち破ると、バカと利口という二項対立に意味がないという世界が視野に入ってくるはず。となれば、次は?
『百尺竿頭進一歩』しかない。
参考:http://www.ryobo.org
小林惠智
(55歳・僧侶)
私はISO14001の文書改定プロジェクトに参加していますが、昔ながらの「おっつけ」会議で事を運ぼうとする上司・先輩に苛立ちを覚え、自分がプロジェクトマネージメントをやろうと思い、ネット・書籍で猛勉強中に、こちらのサイトに出会いました。
「バカの壁」読みたいなぁ。昔ながらの流儀に固執し、責任のなすりつけに終始するつまらない会議は私が変えてみせます(笑)。
ろんふぁん
(32歳・会社員)
プロジェクトマネージメントの根本は人と人とのコミュニケーションですね。ただお互いに言葉を交わすだけでは、対話にしかならないでしょう。
対話ではATMのオペレーションとたいして変わらないと思います。
大切なのは会話です。
相手が何を話しているのか、鵜呑みするのではなくその言葉の奥にある意味を知ろうとする姿勢または努力が大切です。
まあ、これはプロジェクトマネージメントに限らず全ての事に当てはまりますが。
また相手の意見に対して素直に受け止めるためには、常日頃から多角的にものを見る癖をつけておく必要があるとも思いますね。
自分の知らない事は知らないと素直に受け止め、知ったかぶりをしない。
そして相手が例えどんなに若くても、経験が足らなくても、その相手の意見に耳を傾け、自分の知を補う「下門に恥じず」という姿勢も大切です。
プロジェクトマネージメントとは人と人とのコミュニケーションをマネージメントする事と理解し、今日まで励んできました。そしてこれからもその姿勢を崩す事はありません。
我々プロジェクトマネージャは、技術的な専門知識だけでなく、お客様の業務知識も深く理解する必要があります。
なので全ての事柄に対して、絶えず耳を傾ける姿勢が大事なんです。
つまり、壁を持っていたらプロジェクトマネージメントなんて決して出来ないんですよ。。
服部半蔵(36歳)
4行日記いいですね。
「ありたい姿」の宣言を毎日続けることが,自己変革に大変効果が出そうに思います。早速書籍の方も購入したいと思いますが,それよりまずは実践・・・ですね。
益田秀樹(37歳・会社員)
ばかの壁の崩し方、なかなか面白いアイディアです。読者の方々もすぐ応用できると思います。いつもたのしく読ませていただいています。 越智敏雄(64歳)
はじめて本メルマガを購読しました。
「バカの壁」については、私もIT業界で働くエンジニアとして思い当たるフシがあります。お客様の意見に対して素直に耳を傾けようとしないことがある場合が多々あります。
特に、IT業界の方々は他の業界の人々には考えられない厚い壁・枠を築きがちだと思います。この壁を取り払うことによって、よりすばらしいエンジニアになれると思いますし、ビジネスチャンスも広がるのではないかと思います。
早速、「4行日記」を実践してみたいと思います。
つぐ(29歳、ITソフトウエア開発)
マネージメントの難しさ
今現在、自分の部下には8名居ます。年齢も34〜22歳までと幅が広く特に困ってしまうのが年齢差がありすぎて、自分の意見や考えを出してくれない、出したとしても自己主張となってしまう癖があります。また、日々の仕事を作業と考えてしまい、「バカの壁」ではないんですが自ら発見して工夫するといった意識が足りないような気がしています。
自らも含めて様々な壁を取っ払っていかないと良い仕事が出来ないのだと感じました。
「バカの壁」「1日5分・・・」を読んで考えを変えていきたいと思います。
部下を持つことは難しいです・・・・・・
かつや(34歳、コンサルタント)
「バカの壁」を崩すには、「受け入れ」と「素直に認める」ことも必要かと思います。 しら(41歳、IT営業職)
4行日記ににていることをやっていました。 弊社では。「今日のコミットと結果」「うまくいったこと」「改善可能なこと」「発見したこと」を毎日ださせていました。 宣言の部分が欠けているので、そこを変えてみようと思います。 bob(41歳、セントラルソフト)
4行日記書籍購入しました。
自分を知るというのは簡単なようで難しい。
この方法で自分発見をしようと思います。
ひろ(49歳、コンサルタント)
4行日記,毎日実践しています.かれこれ1年以上になりますが,「バカの壁」を打ち破るためにと考えたことはありませんでした.当方では,定型の業務報告よりかなり役立っています.宣言は,ありたい姿を明確にすることによって自分の潜在意識に刷り込んで,行動改革,自己改革する意味で重要だと感じています. つ〜(36歳、会社員)
世の中には「ありたい姿」を表明しつつも
「それがムリ」ということも、あわせて心のどこかで思っている or 「それがムリ」と気付く自分に対峙したくない、
という人も少なからず存在するように思います。

(特に自分が優秀、と自身で思ってきた/人にいわれてきた タイプの方に多いかと・・・)

「バカの壁」が、そういった防衛本能から発生しているものとすれば、「4行日記」を強いたとしても、そこに対しても防衛本能を発揮することになりやしないでしょうか?

・・・これが杞憂だったら嬉しい限りなんですが・・・

結局その自分の”殻”を、いかにして 打ち破りたいと思うか/打ち破るよさを感じるか/打ち破らないと崖っぷちと感じるか ということなのだと思うのです。

そのキッカケが4行日記になる場合もあるし、もしかしたら4行日記に対してさえも防衛本能を発揮しながら巧みに切り抜ける・・・ということになる場合も有る、

そんなことではないかなぁ・・・とツラツラと感じた次第です。
Chuck(XY、非製造業)