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第93回(2006.04.04) 
ICB(2)

◆個人的資質(Personal attitude)

前回、説明したようにICBでは、コンピテンシー=マネジメント標準という非常に柔軟な枠組みを採用し、コンピテンシーを

 知識(Knowledge)+経験(Experience)+個人的資質(Personal attitude)

の3つから構成している(さらにアセスメントためには、これらに加えて、総合的印象という項目を加えている)。前回は、知識と経験についてどのようなものがあるかを紹介したが、今回は、これに続いて、個人的資質について説明する。

ICBでは、個人的資質として

・コミュニケーション能力
・主体性、関心、情熱、動機
・コンタクト能力、オープンさ
・感性、セルフコントロール、価値の正しい認識、責任感、誠実さ
・コンフリクトの解消、文化の主張、公正さ
・問題発見、全体的思考
・誠実さ、結束、支援の心構え
・リーダーシップ

の8項目を挙げている。8項目といっても、一つ一つの項目の範囲は広いので、実際にはもう少し、いろいろなことが規定されている感じがある。注目すべき点は、コミュニケーション能力や、コンタクト能力、問題発見、全体思考、リーダーシップのようなヒューマンスキルと一緒に、まさに attitude である主体性、関心、情熱、動機、オープンさ、誠実さ、責任感といったものが含まれている点である。

PMBOK(R)の場合には、このあたりは、プロフェッショナル責任というPMP(R)を念頭においたプロフェッショナルとしての資質で語られている(ただし、ICBに較べる
とプアである)。もちろん、PMBOK(R)においても、PMCDF(R)では、人格コンピテンスということで、ICBの個人的資質に近いものが必要だとされている。つまり、標準化のレベルの差はあるものの、

 ICB=PMBOK(R)+PMCDF

となっているわけである。


◆計画実行を重視するプロジェクトマネジメント標準のあり方

前回も少し触れたが、PMBOK(R)の抱える問題の一つに計画を作っても実行しないという問題がある。つまり、計画の統制は考えているが、実行はほとんど考えておらず、ここについては、情報管理をはじめ、実行の補助となるプロセスがいくつか含まれているだけである。しかし、本来、実行を考えるのであれば、実行プロセス群にはピープルマネジメント的な要素が並んでいないとおかしい。その意味で、PMBOK(R)の実行プロセスはプアであるし、プロセスモデルとコンピテンシーを切り離して標準を表現しようという考え方にはムリがあるのかもしれないなと思う。

その点で、ICBのとっている標準の定義をコンピテンシーで行うという方法(アーキテクチャー)は合理的であるように見えるし、特に、今後、計画の行動が重視されるようになってくると、主流のアーキテクチャーになっていくのではないかと感じさせる標準である。

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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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