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第87回(2005.11.25) 
チーム指向(4)〜チームの行動規範

◆チームの行動規範

前回解説した思考規範に較べ、行動規範は比較的普遍的である。一般的にチームが持つべき行動規範には、

 ・規則遵守
 ・相互理解
 ・協調行動

の3つがある。

◆規則遵守
規則遵守は「チームで決められたルールを守る」という行動規範であり、自律型チームを構成するためにもっとも基本となる行動規範である。

チームが規則遵守という行動規範を持つためにはルールの決定プロセスにチームメンバー全員が参加し、自己決定感を持つことが望ましい。

また、チームによってはペナルティなどの方法で規則遵守をしようとするが、この方法は望ましくない。チームとしての生産性を下がるだけでなく、モラルハザードを引き起こす可能性がある。


◆相互理解
相互理解はチームメンバーがお互いの考え方と立場を理解し、行動するという行動規範である。重要なことは単に相手の考えたかを理解するだけではなく、行動するという点にある。

例えば、チームの中に、相手の考え方を理解しているが、自分は自分という態度をとる人を見かけることがある。相手に合わせる必要はない。しかし、行動をとるということは、意見の違いに気づいたときに、相手と徹底的に議論をし、相互の共通点を探し出し、合意を形成することである。そして、一旦、合意ができれば、自分の個人的な考え方はしまっておいて、合意に従って行動するという態度が必要である。

相互理解とは本来そういう意味である。

この合意形成の際に十分理解すべきことは相手の立場である。相手との意見が異なるときに、なぜ、相手がそのような考え方をするかといったことに十分に思いをめぐらす必要がある。相手の立場を無視して、ディベートのような形で合意を形成しても、非常にもろい合意になるためである。

この行動規範は本来の意味でのコミュニケーションそのものであるとも言える。コミュニケーションとは相互に理解し、相手に何らかの行動を求める行為である。コミュニケーションという言葉と使う場合には、この点にも十分注意をしておきたい。


◆協調行動

3つ目の協調行動は相手に同期をした行動をとることである。一番わかりやすいのは、作業における同期であるが、それ以外でもさまざまな点で同期が必要である。例えば、相手が必要な情報を必要なタイミングで提供することも同期であるし、必要なタイミングで相手の手助けをすることも同期である。

このためには、規則遵守はもちろん、相互理解が必要になる。

チームには以上の3つの行動規範が必要である。

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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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