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第23回(2004.11.04)
チームマネジメント(2) |
◆チーム編成の進め方
チームの編成は以下のような手順で進めていく。
(1)ビジョン、ミッションの設定
まず、最初はチームのビジョン、あるいはミッションの設定を行う。ビジョンはプロジェクトの目的、ミッションはプロジェクトチームの目標になることが多い。たとえば、「世の中にない機能の携帯電話を作る」といったものがビジョンになる。これに対して、ミッションは「機能を明確にし、その機能の携帯電話を開発する」といったものになる。プロジェクトチームであれば、これらは後に述べるプロジェクト憲章として設定されるのが普通である。
(2)人材像の明確化
次に、ミッションを達成するために、必要な人材像を明確にするのだが、ここで上で述べたチーム編成のパターンによって若干変わってくる。一般的なクロスファンクショナルチームで、各ファンクションごとに大勢の要員を抱えるチームだとすると、まず、リーダーの人材像を明確にする必要がある。
リーダーの人材像を考える場合、プロジェクトの成果物を生み出す作業を中心にしてリーダーの人材像を決めるのが一般的である。たとえば、車であれば、設計という機能全体のリーダーではなく、具体的に「エンジンの設計作業のリーダー」、「ボディの設計作業のリーダー」という作業に対するリーダーという形で決めていく。
人材像の表現方法であるが、これはスキルやコンピテンシーによる記述をするとスムーズにいく。
(3)必要な規模・人数の設定
作業に対するリーダーが決まれば、そのリーダーの下で作業をするメンバーの人数を決定する。これは、通常、OBS(Organization Breakdown
Structure)と呼ばれる手法が使われる。
(4)リソースプール
次に、具体的なメンバーの選抜にかかるわけであるが、その作業に当たって、リソースプールを作る。つまり、ライン組織と協力の上で、プロジェクトメンバーとして選定する候補者の母集団を作ると選抜の作業はスムーズにいく。
ここで、リソースプールを作る意味を理解しておきたい。もちろん、最初のチーム編成をスムーズに進めるために作るという意味外がもっとも大きいのだが、一旦、リソースプールを作ると、チーム編成が変わる際の編成管理に威力を発揮する。
リソースプールの設定で重要なことはライン組織との協力関係をうまく作ることだ。リソースプールはあくまでも仮想的な組織であり、そこに含まれる人材の所属はラインである。したがって、ラインの協力なしにはリソースプールが本来の目的で機能することは難しい。
(4)ロック人材の洗い出し
さて、リソースプールから実際にメンバーを選定する場合に、必ずといってよいくらい、動かせない人材というのが出てくる。たとえば、この技術はこの人しか使えないといったケースである。注意しておきたいのは、クロスファンクショナルチームでは、すべてのメンバーは特定の専門を持った人材である。しかし、そのような人材を多数入れたチーム編成になると、その中でさらにこの人は欠かせないという人が出てくるものだ。ロック人材とはそのような人材である。専門性を持つ人材をすべてロック人材だとしてしまうと、チーム編成自体ができなくなってしまうことに注意しておく必要がある。
(5)チーム編成
ロック人材を確定したら、次は、リソースプールから、ロック人材以外の要員の選定を行う。
◆チームビルディングの進め方
チームビルディングとは、編成したチームを、編成の意図に従って動かすことであるといえる。先に述べたようにチームを作る狙いは、一人ではできないことをチームとして行うことであるが、この目的の中で何がもっとも重要だろうか?それは、チームとしてのビジョンを共有し、そのビジョンを達成するための行動(ミッション)を実行することである。
プロジェクトチームのマネジメントにおいては、この目的のために「プロジェクト憲章」というツールが利用されることが多い。プロジェクト憲章とは管理ツールとしてはプロジェクトの実行について、組織の承認を得るためのツールであるが、プロジェクトのビジョンとその達成方法について記載されているため、チームビルディングの基本ツールとして活用することもできる。
ビジョンが明確になったら、次は行動をする。ここで、ビジョンの浸透と行動の関係が問題になる。チームビルディングの最終目標はビジョンを達成するための行動をできるようになることであり、行動を行いながら各メンバーに振り返り(レビュー)を行う機会を与えることが重要である。
この場合、プロジェクトマネジメントの進め方にもよるが、計画を作り、計画に従ってプロジェクトを進めていく場合には、計画の中にプロジェクト憲章で定められて
いるビジョンやミッションがしっかりと計画の中に反映されていることが重要なポイントになる。それによって、計画に対するレビューによりミッションやビジョンとの整合性を確認できるからだ。また、計画があまり明確ではないような場合には、ミッションに対する行動の合理性を常に振り返っておく必要がある。
ここで非常に重要なことはチーム全員で一緒にこのレビューを行うことである。チームができてもビジョンの浸透、ミッションの理解がすぐにできるものではない。そこで、機会あるごとに、チーム全員でビジョン、ミッションの再確認をし、全員の中にこれらを刷り込んでいく過程が必要になる。そのために、行動を振り返り、さらに振り返りを行動にフィードバックしていく。フィードバックでは、チームとしてどのように行動すればよかったが、また、どのように変えていけばよいかを議論する。その後で、では、チームとしての行動を変えていくためには、それぞれの個人はどのように行動を変えればよいかをチームとして検討する。この過程がチームビルディングだと考えてもよいだろう。
(次回に続く)
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