第22回(2004.11.01) 
チームマネジメント(1)
 

◆チームを作るとはどういうことか

 よく「1+1=2がグループで、1+1=3になればチームである」といった言い方をする。分かったようで、よく分からない表現なのだが、いったい、チームを作るとはどういうことなのだろうか?まずは、これを考えてみたい。

 そもそも、なぜ、チーム(あるいはグループ)なのかという点についても理解をしておく必要がある。簡単に言ってしまえば、一人ではできないことをするためにチームを作るのだが、一人ではできないという場合には2つのケースが考えられる。一つ目は課題の専門性が広範にわたるため、一人の専門家では対処できないため、多くの専門家が参加するチームを作るという場合である。いわゆるクロスファンクショナルな組織(プロジェクト)を作るケースである。

 もう一つは、課題の分量が多いため一人では遂行できず、実行組織を作って対応するケースがある。基本的にはラインとしての機能であるが、現実にはプロジェクトチームの機能としても求められる機能である。

 これらのケースはいずれも極端な場合で、実際にプロジェクトチームを作る場合には、この両方の性格を持ち合わせることの方が多い。たとえば、商品開発のチームを考えてみると、市場分析、設計、開発、生産設計といったクロスファンクショナルなチーム編成が基本になるが、大規模なプロジェクトになると、課題が大きいために分業が必要で、それぞれのファンクションに数名〜数十名といった規模のメンバーが参加することは珍しいことではない。たとえば、ITプロジェクトではこのような形が一般的な形だ。

 チームを作るとは、これらの組織がきちんと目論見どおりの機能をするようにすることだといえる。


◆チームのマネジメント

 「1+1=2がグループで、1+1=3になればチームである」というと、1+1が2になるのは当たり前だと考えてしまうが、そんなことはない。普通に考えれば、1+1はまず、2にはならない。2以下である。2にしようと思えば統制が必要である。この点には留意しておく必要がある。そして、3にしようと思えば、「マネジメント」が必要である。

 チームを作り上げることも含めて、チームのマネジメントには4つの要素がある。
 一つ目はチームの編成をすることである。チームに必要な要員の数、機能の要求を決め、その要求を満たすようなチームを編成する。この編成は物理的な意味合いが強い。

 二つ目はチームの編成管理である。編成管理は、何らかの理由でチームを変更しなくてはならない場合に、変更を管理することである。たとえば、チームに要員を追加投入する、メンバーの交代をするなどのケースが考えられるが、その際の要件を明確にし、その要件を満たすようなチーム編成に変更していくことだ。
 三つ目はチームビルディングである。これが冒頭に述べた1+1を3にすることに当たる。チームワークを芽生えさせ、チームとして機能するようにしていくことを意味している。

 最後はファシリテーションである。ファシリテーションは最近、会議運営などを中心に関心が高まってきているが、プロジェクトにおいては、チームがチームとして機能し続けるための活動だと捉えることもできる。

 この4つのマネジメント要素は以下のように目的に注目して区分できる。

 ・チーム計画:チーム編成、チーム編成管理
 ・チーム運用:チームビルティング、チーム編成管理
 ・チーム育成:チームビルディング、ファシリテーション

この3つがチームマネジメントの目的だといえる。

(次回に続く)

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