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第12回(2003.01.09)
マネジメントプロセスとミーティング |
◆プロジェクトにおけるミーティングの重要性
プロジェクトにおいてミーティングが重要な理由は大きく分けると2つある。一つはプロジェクトは非常に変化の多い共同作業であり、マネージャーとの情報共有のみならず、メンバー間の情報共有がパフォーマンスに大きな影響を及ぼすからである。例えば、オーナーの要求変更や、仕様の変更がきちんと共有できなければ無駄な作業を行い、プロジェクトのパフォーマンスが落ちることになる。このときに絶対に忘れてはならないことはプロジェクトチームというのは一過性の組織である点である。もちろん、運用上、プロジェクトを実施するたびに同じメンバーでプロジェクトを結成するというのはありうる話である。しかし、マネジメントの前提としてはあくまでも一過性のものであるということである。言い換えると、お互いにお互いのことを良く知らない。どんなスキルやどんな考えを持っていて、どんな性格の人かよく知らないことである。このようなチームで運用していくに当たっては、コミュニケーションの機会としてのミーティングが極めて重要である。
2点目の理由は、プロジェクトそのものの状況をマクロに認識することである。同じ意味で目安になるのが予算であるが、どういうミーティングをやって実施しているかによってプロジェクトの状況というのは客観的に知ることができる。特にIT系のプロジェクトのような成果物の形が見えにくいプロジェクトの場合、このことは重要な意味を持ってくる。
◆プロジェクトマネジメントプロセスとミーティング
まず、プロジェクトマネジメントプロセスとミーティング種類の関係を見てみよう。ここでは、マネジメントプロセスモデルとして、著者が提案しているCPCCに従って考えていく。CPCCは
企画(conceptualize):プロジェクトのコンセプトを作る
計画(Planning):プロジェクトをプラニングする
コントロール(Contorl):プロジェクトワークをコントロールする
終結(Closing):プロジェクトをクローズする
の4つのプロセスをとっているが、全体に覆いかぶさるような形で、コミュニケーションマネジメントを行うことになっている。ミーティングは基本的にはこのコミュニケーションマネジメントのアクティビティであると考える。
図:CPCCのマネジメントプロセス
さて、これに対してミーティングであるが、ミーティングの種類を明確にしている書籍はあまり見当たらないが、ミーティングの目的を考えてみると、いくつかに分類でき、これがそのままミーティングの分類にしてもよいと思われる。そこで、ミーティングが必要になってくるケースを考えてみよう。
◆ミーティングの目的分類
プロジェクトにおけるミーティング目的の分類を
企画:ブレーンストーミング、意見交換
情報交換:技術情報の交換、品質情報の交換、作業情報の交換、情報共有
交渉:顧客との交渉、ステークフォルダとの利害調整、提案、根回し
ワークショップ:現状分析、プロジェクト計画、トラブル解決
意思決定:プロジェクトにおける意思決定、決定事項の報告
進捗管理:プロジェクトの進捗の報告と問題解決
ツールボックス:現場での問題解決
の6つに分けてみる。重要なことはこれらのミーティングがうまく使い分けられることである。そのためにはミーティングは基本的にはマネジメントプロセスに分けて設定すべきである。どのマネジメントプロセスでどのようなミーティングが使えばよいかをざっと見てみよう。
◆企画プロセスでのミーティング
まず、企画プロセスでは、企画の構想を作る、ステークフォルダを分析する、リスク分析をする、顧客に提案する、プロジェクトの進め方について顧客と交渉する、契約内容について顧客と交渉するといったことでミーティングが必要になる。このような場面でのミーティングを考えてみると、企画型のミーティングが中心になるが、顧客との調整の機会も多く、その場合、交渉型のミーティングが行われる。また、ステークフォルダの分析、リスク分析など、分析作業をするワークショップ型のミーティングも必要である。
◆計画フェーズでのミーティング
次に計画プロセスでは、計画を作る作業そのものをミーティングとして行う場合が多い。このタイプのミーティングが圧倒的に多い。また、チーミングの際、あるいは計画を作る際に、メンバーから個別に意見を聞くことを目的としたインタビュー型のミーティングも重要である。つまり、計画プロセスでは、まず、計画策定では、ワークショップ型のミーティングを中心に行い、意思決定型のミーティングも行うことになる。当然、ステークフォルダとの調整も必要であり、交渉型のミーティングを行う機会もある。
◆コントロールプロセスでのミーティング
コントロールのプロセスでミーティングを行う場面は、進捗報告、あるいは、情報交換、相談といった場面である。つまり、進捗報告型、情報交換型のミーティングが中心になる。また、進捗の中で大きな問題が起こった場合には、プロジェクト全体でその問題の解決にあたるようなケースも出てくるので、ワークショップ型のミーティングを開催する必要も生じる。
◆終結プロセスでのミーティング
最後の終結プロセスでは、プロジェクトレビューという意味でのワークショップが必要になる。
ざっとみれば、このような感じになる。次回は、それぞれのタイプのミーティングをどのように進めていくかを解説する。
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参考文献:
八幡紕芦史氏「ミーティング・マネジメント」、生産性出版(1998) |
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